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発達障害と感覚刺激 ~その2~

発達障害を持つ私も娘も、
それぞれに感覚刺激に対する
過敏や鈍麻を持っています。

感覚過敏は、刺激を感じすぎて辛い。
感覚鈍麻は、刺激を感じにくくて困る。

しかも、他人に理解されにくい。

どちらも、自分で
コントロールできるものではなく、
訓練できるものでもないので、

発達障害を持つ人間の生きづらさの原因の
大きな部分を占めるものだと
当事者としては思います。

今日は当事者だからわかる
感覚刺激への困り感や
個別にしている対処法を書いてみます。

今回は、音への過敏さについてです。


聴覚過敏の対象等の違い

私も娘も聴覚への過敏さは持っていますが、
同じ「聴覚過敏」でも違いがあります。

①過敏になる状況
②対象(どんな音が苦手か)
③耳に入った時に体(脳)がどう反応するか

これらが違うように思います。

①過敏になる状況

(1)娘の場合
・音に集中して聞かなくてはならない時
(ペンライトを振ったりなどができない
 クラシックコンサートなど)
・不本意な待ち時間など、苦手な環境下

で酷くなります。

(2)私の場合
・寝起き(朝でも昼寝でも)
・体調が悪い時
・肉体的に疲れている時
・精神的に余裕がない時

で酷くなります。

②対象(どんな音が苦手か)

(1)娘の場合
・単純に大きな音(和太鼓のような体に響く音など)
・キーンとするような高い金属音

(2)私の場合
・水がジャー!!!っと流れる音
(特に、水が鉄板やシンクなどの金属に当たる音。
 寝起きは、トイレを流す音も痛く感じる)
・金属で金属をこする音
(アルミ箔をクシャクシャする音、
 金属のボウルで金属のホイッパーを使い混ぜるなど)
・陶器やガラスと金属をこする音
(陶器のマグカップで金属のスプーンでかき混ぜるなど)
・静かな部屋にある音
・ビニールのレジ袋が出す音
・改造バイクや改造車、大型トラックが出す大きな音
・工事現場などにある腹に響くような音
など

娘の場合、苦手な音に出会う確率はわりと低め、
私の場合、生活音が多いので、
日常的に苦手な音に出会うことになります。

③耳に入った時に体(脳)がどう反応するか

(1)娘の場合
たいていの場合、頭痛が起きます。

どうやら音に耐えようとして
自然と体に力が入ってしまって、肩こりが起こり、
それで頭痛になるようです。

(2)私の場合
苦手な音が入ってくると、痛みになって感じます。

だから、音を出している人から
物理攻撃されている感覚になります。

もしくは、頭の中で音が反響している感覚がして
精神的に疲労したり、イライラしてしまいます。

(こどもの頃には、母がスーパーで買い物をして帰り、
レジ袋から冷蔵庫に物を移し替えているだけなのに、
「なんで、そうやっていつも私にイヤなことをするの!?」
と母に怒って、母がキョトンとした事件もあります。)

また、近所で腹に響く音を立てた工事があると
その時間帯に、必ずお腹を下します。

対処方法

次は、聴覚過敏に対して、それぞれ
どう対処しているかを書いてみます。

発達障害を持つ人が時々する
「耳ふさぎ」という行為(両手のひらで両耳を押さえる)
がありますが、あれは聴覚過敏への反応ではないと
私は感じています。

あれは、パニックになった際に、
これ以上脳に刺激を入れるともっとパニックになるので、
入れる刺激を遮断するための行為だと思います。
(専門家ではないので、当事者目線での推測です)

私も、パニック時に耳をふさぐ(布団をかぶる時も)
視覚刺激の少ない場所に行くか、目を閉じて耐えたりします。

耳ふさぎをしながら「きゃーーーーー!!!」と
自ら大きな声を発する場合は、
もしかしたら、パニック時には周りの声かけなどが
全て自分を攻撃する言葉に聞こえるから、
遮りたいのかもしれません。(推測でしかないですが)

実は、娘も私も、幼少期から最近まで
聴覚過敏への対処法として
耳ふさぎをすることは、ほぼありませんでした。

それは、聴覚過敏である状態が「普通」で、
生まれて今までずっとその状態なので、
「この世界はこんなもんだ」ということが前提にあって、

周りの人たちは、きっとポーカーフェイスで
恐ろしい忍耐力の持ち主で、この過酷な環境の中、
耳をふさぐことなく平気な様子で耐えているのだ。

そう勘違いしていたからです。

まさか、自分だけ辛い(痛い)と感じていたなんて…

でも、聴覚過敏というカテゴリー名を知ってからは
苦手な音だと感じるものは

「防げばいい」

ということがわかって、
様々な工夫ができるようになりました。

(1)娘の対処法

基本的には、ノイズキャンセラーヘッドホンで
なんとかなるみたいです。

クラシックコンサートの時には
ノイズキャンセラーイヤホンをするか、
廊下に出て、ベンチに座って聴いています。


(2)私の対処法

基本的には、耳栓か、一瞬なら耳ふさぎ、
ノイズキャンセラーヘッドホンでなんとかなります。

私の場合、生活音が多いので、
家の中でも寝起きなどの時は特に着用してます。

でも、ずっとヘッドホンをしていると
それはそれで耳が物理的に痛くなるので、

キッチンにあるものの素材を工夫しています。

例えば、コーヒーなどを作る時用に
木製スプーンを準備して、
家族にもそれを使ってもらう。

おたま、フライ返し、菜箸も全て
木製かシリコン素材のものにしています。

レジ袋は断って、
少なくとも自分はエコバッグを使い、
できるだけ早く袋詰めを済ませて
さっさと袋詰めコーナーから退散することで
なんとかなっています。

また、耳元で音楽やオーディブルの声が
聞こえていれば、そちらに意識を集中することで
苦手な音が脳に入るのを拒否?することもできます。

お腹に響く音がする工事内容の時間が
長くなりそうな日は、
家から出て散歩するなりして避難します。

そう、感覚過敏の人はそれだけで生活が
ストレスフルになって、対処が面倒なんです。

このあたりは、
わかりやすく「障害」だなと感じます。

だから、街中でイヤーマフや
ノイズキャンセラーヘッドホンをしている人を見かけたら、
「近視だからメガネをかけてるのと同じ」と
考えていただけたらうれしいです。

(後ろに人がいる気配も感じられない時もあるので、
邪魔なのに避けたりできなかったら、すみません。
見た目にわかるようにしていただけたら、
すぐに避けますので、ご協力いただけますと幸いです)

それから、感覚過敏については

そもそも、自分が感覚過敏の持ち主だと
気づいていない人もいると思っていて、
「なんで自分はこんなにイライラするんだろう?」
の原因が、感覚過敏だったりもすると思います。
(私がそうだったので)

もし、周りの人たちが平気なのに、
自分だけ辛い気持ちでいる人は、思い切って、
「この音、すごくイヤな音だよね?」と
周りの人に聞いてみるのもアリかな?と思います。

原因(どんな感覚刺激が苦手か)がわかれば、
対処もできて、毎日がぐっと快適になります。

心当たりのある方は、
ぜひ、自分と向き合ってみてください。

また長くなってきたので、
次回は、触覚過敏について書いてみます。

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