マタイの描く人間模様 ― バッハの《マタイ受難曲》

 バッハの《マタイ受難曲》はその名の通り、新約聖書『マタイによる福音書』の第26・27章、つまりイエスの受難の物語に基づいて書かれた、大規模な宗教声楽曲だ。演奏には独唱陣と2つの合唱、2つの管弦楽が必要で、演奏時間は約3時間にもなる。教会暦では、キリスト復活祭の前々日にあたる金曜日の礼拝で披露される。

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