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盗まれない紙

先日用事があって、久しぶりに上京しました。

都内の駅ビルや美術館を訪れたのですが
その際に使ったトイレで
貼り紙が少ないことに気がつきました。

なぜって今住んでいる辺りであちこち見かけるのが
トイレの個室に

トイレットペーパーを持ち帰らないでください

と貼ってあるところが結構あるんですよね…。
※コロナ前からです

なんなら信じがたい人も居るとは思うんですが、
トイレットペーパーフォルダーに鍵がかかるようになってる
ところまであるんですよ…。

場合によっては

個室に長居しないでください

とかもある。
※昼休みなどに籠る人がいるから

(沈痛…)

まぁあたり前っちゃぁあたり前ですが
丸ノ内で、銀座で、上野でトイレットペーパー盗んでどうすんねん
そんなとこから家までトイレットペーパー持って帰るんか
つー話で、そんな人そうそう居るわけないので
当然そういう張り紙は要らないわけですが
タダで生活用品盗れるなら取っちゃおう的に
モラルもへったくれもなく、
それくらい人間が壊れる生活様式が実態として目の前にあって、
店に入ると金がかかるんで、タダでいくら居てもお金取られない
さらに冷房きいてて快適な
大きなショッピングセンターのベンチとか
やることない居場所のない人だらけなんですよね。

最初から長居する気満々で水筒さげてきて
4人かけ用の机を独占して何かやってたり。
そこまで図々しいとさすがに注意されないのだろうか(汗
と思ったりしますが、涼しい顔でくつろがれています。

スーパーへの居座りは(ある種の業務妨害かもしれないですが)
誰かを傷つけてるわけでもないので、
もうどうしようもないのかなと思ったりもしますが
さすがに公共トイレのトイレットペーパー盗るのは窃盗なわけで
そこを踏み外してしまうマインドが目の前に実在している感覚というのが
私の胸に漬物石を突っ込んだような気持にさせます…。

そんなモヤモヤを始終抱えている私が
そういったことが存在しない空間に身を置いた時の
何とも言えない安堵感と違和感の綯交ぜ。

ここには隠れてトイレットペーパーをバッグに突っ込んで立ち去る人も
そんなことを注意する必要もなく、
数百円の飲み物代を惜しみ、フリースペースに何時間も居座る為に
来る人達は視界には存在しないのです。

キレイにキレイに片付けられ、選ばれたその場にふさわしい人間だけが
行きかうその空間にぼんやり座りながら
自分が考えなければならないお客さんのことを考えました。

私が考えなければならない画面を
どこかで見つめてタップするであろう、顔も見たことないお客さん。

WEBの仕事って
飲食店のように目の前のお客さんに
物理的に触れるものを受け渡す商売と違って
間に何人もの人が関与し、
どこの誰にどう思われるのかわからないまま
作ったものが受け渡されていく商売なので
私は誰に向かって何を作って、お金をもらってるんだろうと
ちょいちょいこういうノイローゼっぽい気分になりがちなんですが(笑)
トイレットペーパーが盗まれるということへの
想像が全くできない人でも
それをやらかしてる人でもないといいよなぁ
なんてそんなことを思うわけです。

要件に共感するとか、共鳴するとか、理解とか
本当に難しい。