見出し画像

ドゥ・ザ・ライト・シング 【英語を覚える】

045.ドゥ・ザ・ライト・シング

🎬  映画について

初見は高校の時。
スパイク・リーを漠然としか分かっていなかったのでコメディ映画だと思って観てしまい、すごくどうして良いか分からない感情になったのを覚えている。ジャケ借り(レンタルビデオ)が起こした悲劇である。
オバマ大統領も初めてのデートにこの映画を観に行ったらしく、「良い映画だったけど、デート向けの映画じゃなかった」的な発言をしている。
オバマ大統領も僕も若い頃は、そう変わらないのかなとか勝手に思いました。ごめんなさい。

NETFLIXにあったので再度観て、かつFirmarksの感想を観たのですが、「映画として良かった」という感想が多い一方で、「ひたすら胸糞が悪かった」という意見も多い映画の印象。
黒人差別問題が、どうしても遠くなりがちな日本人ならではの意見なのかな?と思いつつ、その意見には自分自身も深く共感するところがあった。
近隣のアジア先進国との、やいのやいのはニュースで感じつつも、個人間では政治問題に触れないようにしつつ、個人と対立する理由ではないと割りきっているじゃないですか。日本人って。(自分もその典型っす。)
そういう人間にとって、この映画は毒にしかならないのかもしれないのかなぁと思ったり。


映画のあらすじに触れると、こんな感じ。

主人公のムーキー(スパイク・リー)はフリーター系子持ち男子。
平気で家族を放置しフラフラ。


地元の賢者キャラ的な感じだけど酒飲み貧乏おじいちゃんのメイヤーから『Do the right thing (ちゃんとしろよー)』と言われるようなキャラクター。

そんな彼を中心にいろんな人の生活がはじめは軽快にドラマが始まるが、小さなイザコザを通して、徐々に憎しみ具合が出てくる。
ちなみにピザ屋の店員たちや白人の警官などが出てくるけど、差別主義なキャラクターも出てくるが、割と温厚な人たちが多い。
ムーキーもバイト先のピザ屋の店長の息子に嫌われているが、実際適当に仕事をしてるくせに金だけは貰おうとするので嫌われてもおかしくはなかったりする。その不満を差別を結びつけるのは良くないってのは前提だけど。

日常でもモブ的に出てくる黒人たちが消火栓の水ぶっ放して、白人の車を水浸しにするシーンがあって、差別を取り扱った映画なら、ここで暴力警官が黒人をしょっぴくのが良くあるパターンなんだろうけど、警官は優しく注意するくらいで終わる。

名称未設定 1



なんなら、この作品でクセ強くて危険な登場人物は黒人だったりする。
(こいつらね!↓)

スクリーンショット 2020-06-01 15.49.00

(右) スマイリー
吃音症。いつもマルコムXとキング牧師のツーショット写真を2ドルで売っている。
ちょっとやばい人。
ウロウロしている。

(中) ラジオ・ラキーム
ムーキー以外からは変人扱いされている、でっかいラジオ持ってるパワー系。ラジカセで音を鳴らしたままお店に入ったりする、ちょっとやばい人。
ウロウロしてる。

(左) バギン・アウト
明らかに小心者だが、白人差別主義。
というか本作品のトラブルメーカー。
イタリアンピザ屋に黒人の写真を貼っていないので店を潰すことを決めた、やばい人。
ウロウロしてる。

このウロチョロ3人組がやばい。
ウロウロしてる。ってのも冗談のように書いたんだけど重要なんでしょうね。きっと職がなくウロウロしているというシビアな生活の裏返しなわけで。

そして主人公のムーキーは、はじめはブルックリンのマイルドヤンキーくらいで見えるんだけど、終盤は悪意に等しい憎悪の塊に変わっていく。そんな彼をスパイク・リー自身が、世の中を業を背負うかのように演じている。

目つきが本当に悪くなっていくんだよね。
本当に終盤は憎たらしいキャラに成長していく。暴動の扇動キャラみたいになっていく。そして最終的にはおれもこう思っているわけです。

主人公のムーキーはフリーター系子持ち男子。
自分が暴動を先導したバイト先に金までたかりに行く始末。
思えば、ピザの配達バイトも寄り道ばっかりしたり、家族も放置だし、終始ろくなやつじゃなかったな。

…と物の見方が変わる恐ろしい瞬間を体験してしまったような気がする。
社会的行動や視点は重要だけど、日常に安易にその手の視点を混ぜないで地に足のついた個々の関係を続けないと、行き着く先は暴力なのかなとか…考えてしまった。
スパイク・リーはもっと違う意図を込めている気はするんだけど…。

そして最後のエンディングロールには非暴力を訴えるキング牧師のセリフで締めるのかと思いきや、直後に『自己防衛の暴力は必要』とマルコムXの言葉で映画は閉じる。問題はなんだったのか、自分の行動は、どこまでが正しいのか。"考えろ"という言うように不穏に終わったのが印象的だった。


OP曲であり、ラジオ・ラキームが終始かけている『ファイト・ザ・パワー』は『権力と戦え』と叫ぶ歌だけど、この物語の"敵"は勝手な被害意識と権力を結びつけた暴走した権力とはほど遠い人たちの同士のドラマゆえに、空虚に響く。


最後はパブリック・エネミーとアンスラックスのコラボ曲で。
この曲をライブでマイクシノダが観て、リンキンパークの結成につながったというのは有名な話。
なんでもそうだけど、境目を超えた瞬間にこそ名曲って生まれるよね!




📖 今日覚えた単語・文法

地元のラジオのディスクジョッキーが差別が飛び交う街を憂いて叫ぶセリフ。Youtubeとかが進出した世の中だけど、良くアメリカの映画に出てくる町レベルの超ローカルラジオ文化ってまだあるのかな?

🔸英文:
Yo! Hold up! Time out! Time out!
Y'all take a chill!
Ya need to cool that shit out!
And that's the double truth, Rush!

🔹吹替:
おーい!やめろ!小休止だ!試合は中断!
みんな頭を冷やせ!
冷静になって、今言ったことを頭から追いだせ!
それが今何よりも大切なトゥルースだ、ルース!

🔸単語・文法:
■ Yo→よう!
■ Hold up→やめろ
■ Time out!→待った!

■ Y'all→みんな(you allの省略形。スラング的な感じ)

■ chill→落ち着く
■ ya→みんな(youやyourの省略形スラング)

■ shit out→これも分からなかったんだけど、shitはタワゴトで、outはやめろ的な意味なのかな。
■ double truth→これは分からなかったのですが、二重で大事と言っているので超大事みたいな感じ?
■ Rush→性急に
※韻を踏んで言っているので、深く考えず感覚で捉えるのが正しいのかなと思いました。

🔹直訳したらこんな感じ?
おい!やめろ!やめろ!
みんな落ち着いてくれよ!
みんなに必要なのは冷静になること、タワゴトをやめろ。
それが大事だぜ。急げ!

———

以上でございます。
お付き合いいただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?