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恋する望遠鏡(テレスコープ)

 試験のことが不安で、少し息抜きをした。具体的に言えばアニメを見た。高校生にもなってまだ見ているのかと突っ込まれそうで少々怖いけど、この年代(子ども以上大人未満)だからこそ楽しめる作品は想像以上に多い。家族が寝静まった後の深夜帯の時間は格好だ。

 「恋する小惑星(アステロイド)」という漫画原作のアニメが現在放映されている。僕はアニメ化決定の知らせを聞いて初めて知ったものだから、具体的な内容については書けない。2話見たところだと、おそらく最終目標は自分たちで星を見つけて、それを命名することだ。

 本日 AbemaTV(作品ページ) で見た回で望遠鏡が出てきた。夜に火星や木星、流星群などを見る内容であった。惑星や星を見る機械である望遠鏡の側面には赤文字で Vixen と書かれ、型番は A80Mfとあった。ここではっとした。そういえば、自室の物置にそれがあるんだと。

 見終わった後に、無意識に戸を開けて引っ張り出した。残念ながら型が A70Lf と親戚だったようだが、その説明書は A80Mf と兼用のようだ。なんだか、このきららアニメに会えたのも、昔望遠鏡を買ってもらったのも運命のように感じてきた。

 そう、星座早見番も懐かしかった。回すところがギザギザになっていて、くるくるするのがとても楽しいのだ。

 小学生の頃、何回か望遠鏡を外に出して観測してみようと試した記憶がある。月かなにかは見ることができた。その像をデジカメで直撮りした写真が残っている(当然、あの地学部のようにお金はないから)。その事実だけを思い出すだけで、天に対して神秘を抱く。黒っぽい空に白く小さく光るあの切なさ。無数にある点々の儚さ。なぜだか涙腺が緩んでくる。

 地球を宇宙規模で考えると、どうしてもスケールの話になる。僕たちはちっぽけな存在で、自分周辺のミリ単位のことすらまともに把握できない愚か者だ。そんな僕らがはてなき場所を求めて、知識と人を総動員して、無人機をあちこちへ飛ばす。不思議と懐かしさがある。初代はやぶさが地球に還ってきたときにも、なぜか雑誌を買ってもらい、その特集を読んだ。

 僕がこの世で成功しようと、宇宙史として書くレベルの偉業は達成できないだろう。外にいる蟻に(たいていは)名前をつけないように、宇宙人が地球人を観察しても、すべて同じように見えるだろう。なのにプライドが高いから、非常に些細な事でずっと悩み続ける。外から見て、この二足動物はかわいいと言ってくれるかな。

 ブランクこそあったものの、僕はあの闇に恋をしている。恋する小惑星は、このような僕の記憶を蘇らせるとともに、お悩み相談もついでに引き受けてくれた。諸問題を解決するにおいてのヒントが、僕たちの頭上にあったのだ。

 ありがとう。大好き。