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一段落とわずかな休憩

 センター試験の自己採点が終わり、各予備校にデータを提出した。問題を解くより単純作業だから、こちらの方が面倒だったように思える。事前に親と点数別出願先を話し合っていた。なんとなく未来が見えていたので、結果としてまあこんなもんかなという感じである。

 学校の話。ICカードはもはや定期券ではなくなった。不定期で隣町に行くことになるため、都度払いのほうが得だからである。往復 1000 円を払い、てくてく歩けばいつもの学校がある。太陽に照らされても雪をかぶっても常にそこにある。しかし中に入る人は変わる。建物は何を考えているのか。

 「何点取ったぜ」

 上手くいった人は堂々と、失敗した人も大声で点数を自己開示する。進学校であるが、8割を超えた人はクラスで 1 人しかいなかったようだ。彼はにっこりとしてはにかんでいた。

 進研・駿台・河合・東進と各々の会社に成績をあげた。用紙の端には小さな文字で個人情報の取扱についてと書いてあった。もしあなたの情報を勝手に使用しますと明記されていて、それを拒否しようとも先生からは出せと言われるだろう。読む気が失せた。便利な裏腹には金か。ああ金か。

 帰り道は数キロ歩いてみた。自然と背中は曲がり、目と顎が地面と並行になる。はっとして周囲を見ると、お年寄りの方が手荷物を持って歩いている。そうか学生が勉強している間に、この人達は買い物をしているのか。さらに進んでいくと、途中で足が止まったおじさんがいた。おじさんもまた俯いていた。昼間から徘徊かと少し悲しくなった。

 バスの中では音楽を聞くのが定番。カナル型イヤホンを装着して、目一杯楽しむ。でも楽しめない。乗り物がガタガタ揺れる音が耳に入るのを防ぎ、他の乗客の私語も防ぎ、自分というゾルのようなゲルのようなものを固める役割も果たしている。生きているだけで精一杯と思う。早く寝たい。