合理的な都会

 客室の窓から見下ろす道路には、ミニチュアサイズの車と人が動いている。エレベーターで降りて地上へ出ると夜でも騒がしく感じる。これから働く者がいれば、あたたかいご飯を食べる者もいる。

 地上にも地下にも人がいる。みな目的を持って行動しているとは考えたくないほどの 脳みそが集まっている。それをルールに沿って処理する都会の交通は素晴らしい。

 左側通行をしないと怒られる。地下鉄のドア付近に立っていると各駅で降りないと怒られる。ご近所ネットワークはない。けれども、一度失敗すると多くの通行人にバカにされる。

 合理的な成分が多いなら、余裕の成分は少ないと言える。人の温もりはたくさん歩くほどなくなっていく。生きているのに忙しい。構っていられない。関わりたくない。

 ちょうどそばにある壁の素材は石だ。冷たすぎる。