都心のマンションの住戸は狭いので共用空間にはゆとりが欲しい
都心の高級感タワーマンションにはホテルライクな生活感を演出するために、広いラウンジとコンシエルジュが必要ですが、郊外のファミリーマンションにはキッズルームのほうが望まれます。でも、駅近に立地するワンルームマンションにはどちらも必要ありません。
都心のマンションの価格上昇はすさまじく、1㎡当たり200万円を超えています。世帯年収1,600万円のパワーカップルが年収の7倍の住宅ローンを借りても11,200万円なので、60㎡の12,000万円の住戸すら買えません。だから都心の新築マンションには30㎡台の住戸が多く、50㎡台で2居室が確保されたコンパクトな住戸も多くなりました。
世帯年収が900万円~1,200万円なら30㎡~40㎡の住戸には手が届きます。安全性、利便性、快適性が極めて高い都心の住戸は狭くても、将来値下がりしないから、子育ての時期が来たら住み替えができるので、共働きの世帯には魅力的です。そんな需要を満たす都心立地のマンションは、30㎡~50㎡の住戸を中心に100戸~200戸で構成されます。そんな建物に必要なのはどのような共用空間なのでしょうか。
広いラウンジがあってコンシエルジュがいれば高級感があって、都心の高額マンションにふさわしいのかもしれませんが、広いラウンジもコンシエルジュもそのサービスの維持費は高価なのに、あまり活用されてはいないようです。都心の空間コストは1㎡当たり月額5,000円以上と高額なので、それに値する空間であってほしいものです。東京都心の住宅地域は猛スピードで、住商混在地域へと移行し続けていますから、そこに建築されるマンションの住戸や共用空間は、そんな地域変化に適応できなければいけません。住戸は事務所や店舗としても使えるような空間で、ラウンジはカフェとしても使えるような設備のある空間だといいかもしれません。
表参道ヒルズの敷地に建っていた同潤会の「青山アパートメント」は、1926年~1927年に建築されて2003年に解体撤去されました。3階建、10棟、138戸の住戸は解体時には、その大半が店舗として使われていました。
銀座1丁目9番8号に「奥野ビル」という建物があって、ギャラリーやアトリエ、ショウルームが多く、物販店舗や事務所も入居しています。1階には大きな丸窓があって、手動開閉式のクラシカルなエレベータが今も働いています。この建物は1932年に「銀座アパートメント」として建てられた、地下には共同浴場もあった高級共同住宅でした。
これから都心に建つマンションは数十年後にはきっと「青山アパートメント」や「銀座アパートメント」のように変化しているのではないでしょうか。躯体の耐用年数は100年~200年あるいはそれ以上なので、専有部分も共用部分もその間の地域の環境変化に耐えられるように、専用部分はリノベーションがしやすいように、共用部分は余裕をもって設計したほうがいいのではないでしょうか。
記事を読んで何か疑問や質問・相談があれば文末に記載したメールアドレスに送信して下さい。丁寧に回答致します。
実際にマンションを買おうと思ったら、下記の記事も是非合わせてお読みください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?