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シティ・オブ・ロンドン ロードメイヤーの就任式典の模様をレポートします!

国際金融都市担当では、都と交流・協力関係にある英国シティ・オブ・ロンドン・コーポレーションに研修生を派遣しています。研修生は、国際金融に関する施策やプロモーション活動のノウハウなどを吸収しているほか、日々の業務で得られた知見や人脈を、リアルタイムで都の事業展開に還元しています。
今回は、シティの長であるロードメイヤーの紹介と11/11に行われたその就任式典の模様について、この研修生による現地レポートをお届けします!

Lord Mayor(ロードメイヤー)とは?

Noteをご覧の皆さん、こんにちは!
シティ・オブ・ロンドンは、世界屈指の金融街として知られています。(単に「シティ」と呼ばれることもあります。ちなみにシティはロンドンの全域ではなく、セント・ポール大聖堂などがある中心部の約3㎢ほどの区域です。)
この組織は、多様で持続可能なロンドンを支援し、活気と繁栄のあるシティを実現するために活動しており、その長であるロードメイヤーは、毎年世界の主要市場や金融センターを訪問し、英国のエコシステムや市場を宣伝するなど、シティが金融、専門サービス、商業、文化の優れたハブであり続けるために重要な役割を担っています。

▼ 今年都庁を訪問した際の様子はこちら

ロードメイヤーの任期は1年で、毎年9月29日に行われる選挙により、次のロードメイヤーが選出されます。選ばれた候補者は、11月第二金曜日に行われる「サイレント・セレモニー」で就任を宣誓し、その翌日に、王室のあるウェストミンスターにて王室への忠誠を誓うことで、ロードメイヤーとしての1年間をスタートします。この、ウェストミンスターに向かう道中に行われる新メイヤーのお披露目のパレードが、後ほどご紹介する「ロードメイヤー・ショー」です。

そして2022年11月11日、第694代ロードメイヤーに、ニコラス・ライオンズ氏がご就任されました。歴史あるイベントの様子を、現地から報告します。


Silent Ceremony(サイレント・セレモニー)

サイレント・セレモニーとは、ロードメイヤーが交代する式典です。
この式典は、その名のとおり、一切の行程が静寂の中で執り行われます。唯一の例外は、冒頭の新ロードメイヤーの宣誓のみです。新ロードメイヤーの宣誓・署名の後、退任されるロードメイヤーが立ち上がって席を譲ります。そして、二人のロードメイヤーが向かい合って、退任されるロードメイヤーが帽子を脱ぎ、就任されるロードメイヤーが帽子を被ることで、正式にロードメイヤーが交代するのです。交わす言葉はなく、一切が静寂の中での出来事ですが、中世のままの姿を残す建物・ギルドホールにて、厳かな雰囲気、古来(なんと800年以上前!)からの伝統的な作法に則った式典進行は、胸に迫るものがありました。

その後、ギルドホール前のギルドホールヤードにて写真撮影が行われます。サイレント・セレモニー終了後は、式典とは打って変わってお祝いの言葉が飛び交う、とても賑やかな雰囲気になります。

サイレント・セレモニーが執り行われるギルドホール(シティの庁舎)
左から3番目の帽子を被っている方がニコラス・ライオンズ 第694代ロードメイヤー


Lord Mayor’s Show(ロードメイヤー・ショー)

ロードメイヤー・ショーは、新たに就任したロードメイヤーのお披露目の行事です。
このショーの歴史は、13世紀初頭、ジョン王が現在のシティに独自の市長を任命することを許可したことに始まります。この地区は当時から国際色豊かな街でしたが紛争の真っ只中で、豊かだが脆弱、支配するのは簡単だが統治するのは難しいという、複雑な場所でした。このため市民たちは初期の都市国家であるコミューンになることを望み、ジョン王はこれを認め、市長を自分たちで選べるようにすることを許しました。その代わり、新しく選ばれた市長は、毎年ウェストミンスターに赴き、王室への忠誠を誓わなければならないという条件がつけられ、以降、ロードメイヤーは800年以上にわたってその行程を守り続けているのです。
ウェストミンスターへの行列の豪華さからその人気は高まり、次第に「Lord Mayor's Show」として、シティの企業、貴族団体、慈善団体、軍隊、市警察など、あらゆる階層のロンドン市民が一堂に会す、騒がしく、色鮮やかで楽しい行事として成長し、知られるようになったのです。

実際に見学してみて、中世のギルドを思い起こす様々な紋章や伝統的な衣装、馬車、クラシックカーなどが目白押しで、英国史のショーケースのようでした。英国の国家首相でさえも就任に伴うパレードはありませんが、ロードメイヤーの就任においては、その歴史と由来を踏まえて、街を挙げてお祝いするというのが興味深かったです。
ロードメイヤーは、多くの期待を一身に背負ってロンドンの代表として活躍される、歴史的な重みを持つ職であること、そして私自身が大変貴重な経験をさせていただいているということを強く実感できたイベントでした。

伝統衣装をまとった人々がロンドンの街を練り歩きます
中央の方がロードメイヤーで、乗っている馬車はロードメイヤーズ・コーチと呼ばれます


以上、とても華やかで歴史を感じる英国からのレポートをお届けしました。
いかがでしたでしょうか?次回の現地レポートもお楽しみに!
ご興味のある方は、ぜひ東京都とシティの共催セミナーなど、過去のイベントの様子もチェックしてみてください!