スタンプカード始めません

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お店を始めた頃は「スタンプカードやらないの?」ってよく聞かれてたけど、頑なにイヤがってやらないでいたら最近はとんと聞かれることがなくなりました。継続は力なり。

どうしてスタンプカードを始めないのかというと「準備が面倒だから」という僕らしい理由が第一なのですが、もう一つ「スタンプカードを介したお店とお客の関係性がイヤだ」というのもあります。

悟理道珈琲工房は「喫茶店寄りのコーヒースタンド」を標榜しており、お客さんの店内での過ごし方は千差万別。読書をする人もいるし、友人との話に花を咲かす人もいるし、ただじっくりとコーヒーを味わう人もいるし、店主と話をする人もいます。余程のことがなければ店と客はそれぞれが自由な選択権を持つ対等な立場です。

ところが会計時にポイントカードというものが存在すると急に「店が主、客が従」の関係性が生まれてしまうような気がするのです。

客:「えへへ、今日もポイントを集めるためにコーヒーを一杯飲みに参りましたぜ、どうかスタンプを押してくださいませ」

自分:「よしよし今日もよく来てくれたな褒美にスタンプを一個くれてやろう」

僕がスタンプカードにスタンプを押すときしたら脳内ではこんな感じの会話を妄想することになるでしょう。

「雨の日はスタンプ2倍!」なんて、もう「お前ら!売上の少ない天気の悪い日こそお店に貢献するときだぞ!」って超上から目線の発想のような気がして恐れ多いやら恥ずかしいやら。「封建制かよ!」ってツッコミたくなります。

これはたぶん夏休みに毎朝眠い目をこすってイヤイヤ公園に集められラジオ体操に参加してスタンプをカードに押してもらい、夏休み明けに学校に提出しなければならなかったという辛い思い出が元凶なのではないかという気がしています。

というわけでお店とお客様の健全な関係性を維持するために悟理道珈琲工房ではスタンプカードを始めることは今後もありません。

なお、店主は他店様のスタンプは相手にそれとは悟られぬよう留意しながら将軍に尽くす御家人のように喜々として集めています。なんなら雨の日にスタンプが2倍になるというのなら「いざ鎌倉!」とばかりに喜んで駆けつけます。

立場が変わればモノの見方はいとも容易く変わるものなのです。

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