それぞれの組織に、それぞれの価値がある「これからの時代の組織をいかにつくるか」vol.1イベントレポ
まさに今、時代は大きな潮目を迎えています。
正解のない世界で、これからの組織と個人はどのように関係し、よりよい方向へ発展していけるのか。
私達は、「これからの時代の組織とは?~組織システムと個人の相互発達~」をテーマに、全4回のシリーズを通して「これからの時代の組織」を探究するイベントを企画しました。
3月30日にその第1回イベントとして、そもそも「これからの時代の組織」に必要となるものとは?という問いについて、ゲストの株式会社eumo代表取締役の新井和宏さんを中心に語っていきました。今回はそのイベントレポートをお届けします!
▼今回のシリーズ企画の開催背景はコチラ!
登壇者紹介
ゲストパネラー:新井 和宏(株式会社eumo 代表取締役)
パネラー:西坂 勇人(GCストーリー株式会社 代表取締役)
本シリーズ全4回モデレーター:岩波 直樹(株式会社eumo 取締役)
【第一部】『共感資本社会』と次世代型組織eumoの組織づくり
これからの社会は人と人の繋がりが資本となる『共感資本社会』
新井:1970年にオムロンの創業者である立石一真さんが提唱した『SINIC理論』によると、人類の文明は、技術と科学と社会が三つ巴になって進化しており、現在は『最適化社会』にあたると言われています。
それまでの『工業社会』の価値観では効率や生産性、モ ノや集団が重視されてきましたが、次の『自律社会』(eumoではこれを『共感資本社会』と呼びます)では、精神的な豊かさを求める価値観が高まってい きます。
そして、『最適化社会』は、この2つの社会の価値観の狭間で 破壊と創造を繰り返し、最適化を進めていく混沌とし た時代であり、eumoはこの社会から次の『共感資本社会』の実現を目指すということを経営理念としています。
『共感資本社会』とは、共感という見えない、貨幣換算できない価値を大切に育み、それを基礎(資本)として活動していける社会です。
その実現には、社会関係資本、すなわち人と人が繋がりが大切になります。人と人が繋がり、人間としての成長が促されることにより、共感資本社会の実現が可能になっていくのです。
※eumoの具体的な活動は以下のリンクからご覧になれます。
「1%の想いのズレを疎かにしない」 -次世代型組織eumoの組織づくり-
新井:『共感資本社会』を目指すeumoは、組織づくりについても従来の会社組織の常識にとらわれず、『共感資本社会』における組織とは?という視点で組織づくりをしています。
まず、株主は従来の仕組みではリターンをもらうために投資する存在になりがちでしたが、私達eumoの株主さんは共感資本社会を一緒に実現する仲間として参画してもらう存在であると思っています。
そのため、株主さんにeumoの活動に参加する仕組みも作っています。例えば、株主さんには円による配当をしない代わりに、私達が提供している共感コミュニティ通貨「eumo」を配り、私達の共感資本が流通する経済圏に参加してもらっています。
新井:社内の雇用形態については、管理する仕組みにはしたくないので、管理職を0人にし、役員が7人いる形にしています。会社に依存をしない関係性づくりを考え、依存を生みやすい雇用契約から業務委託契約に切り替えていき、社員にはなるべく早く複業を獲得し、それぞれの人生を歩めるようにしてほしいと勧めています。
また、意思決定の仕方については、権限をどんどん移譲すればいいと思っていますが、意思決定をする上で、1%の違いを意識する必要があると思います。
例えば、身長が170cm、歩幅が70cmの人がいて1日1歩進むとすると、角度が1度ズレると、大体1.2cmのズレが生じます。これが1年たつとズレは4.5mになります。
新井:だからこそ想いがズレること自体を受け入れながら、この1%のズレを常に確認し、お互いの想いに近づこうとすることが大切なのです。
【第二部】本質的な課題は「自分の言うことを聞かせたい」経営者のマインド
続いて、岩波さんにモデレートしていただき、GCストーリーの西坂も交え、話題提供を踏まえたトークセッションをしました。
Q1. 今の時代において、「株式会社」という形をとり現行の制度の中でやっていくとすると、先進的な取り組みはやりにくいと思いますが、どんな工夫や苦労をされていますか?
新井:eumoは、変な組織です。前述の通り、役員が7人いて、社員が2人しかおらず、他は業務委託です。このような組織が成り立っているのは、『契約』で縛らず、『想い』でまとまっているからです。たまたま、eumoには自律されている方が多くいて、また、複業を当然のように考えているので、今の形にすることができました。
岩波:一律の答えがない時代になってきているので、eumoに適切な方法が、他社で適切とは限りませんよね。逆にGCさんだと、新入社員は、まだ自律していないということもあると思いますが、次世代の組織にしていくためにどんな工夫をされていますか?」
西坂:これからの時代、ヒエラルキー型の管理組織と、eumoさんみたいなティールな組織の、どっちの形の方が受け入れられ、機能していくかを考えると、後者のほうがイメージがつきます。ただ、うちの会社ですぐにeumoさんのような組織形態を導入しても、うまくはいかないでしょう。
本質的な課題は「自分の言うことを聞かせたい」という経営者自身のマインドです。
僕は創業以来、「こういう風に会社を発展させたい」想いを持っていました。しかし、数年前「会社が発展するために一番邪魔なのは俺なんだ」と気づき、「俺のことは気にせず、自分の好きな通りやってくれ」と話をしはじめました。
はじめは『どう考えているんですか、社長』と聞かれることがありましたが、次の世代が育ってきてくれています。業務の部分は全て任せても大丈夫な状況になってきたので、2年半前に会社から極力いなくなる判断をしました。そうして、フラットな組織が実現できたんだと思います。
岩波:『俺が邪魔なんだな』と思って手放せる経営者って、そもそもあまりいないですね(笑) 経営者が手放せるようになるのは本当に難しいです。
手放すためには、経営者のネットワークの中で、経営者が相互に成長させ合うことが大切です。社内で、1人で考えることで手放せるようになるのはかなり難しいと思います。
1つの組織だけではなく、いろんな所に属しながら認識を広げ、成長していく時代
Q2. GCストーリーでは、雇用形態や意思決定の仕方に関して取り組んでいることや、これからしようと思っていることはありますか?
西坂:まさに今、考えている途中です。うちは新卒入社が8割5分くらいなので、すぐに自由にフラットにするのは精神的な自律の面で難しい。その中で、まずは愛のようなものを大切にしたいと思っています。社会に出てきた一年目の子を愛情持ってしっかりと育てていきたい空気は会社全体に流れています。これはティールとは違って、グリーン組織的な感覚ですね。うちは「グリーンティー」と言っていて、あるレベルまではグリーン的(家族的)に成長をしてもらおうとしています。一定のところまで成長を遂げたらティールっぽくやっています。
岩波:これからの社会は、境い目がなくなっていきますし、むしろ、なくしていった方がいいと考えています。
組織形態の話であれば、入ってから死ぬまで人の成長を責任を持って見る終身雇用の時代ではないと2人の話を聞いて感じました。
それぞれの組織にそれぞれの価値があります。例えば、アンバーな組織であればそれを経験できるのが価値、GCでいえばグリーンからティールへの移行期を体験できるのが価値、eumoであれば、ティールの組織を体験できるのが価値です。
人は1つの組織だけではなく、いろんな所に属しながら、認識を広げて、成長していく時代に入ってきたんだなと改めて思いました。
経営者や組織をつくる人たちが、自分たちがどのあたりの価値を創出していくのかを考え、組織ができていればいいなと思いました。
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このあと、参加者からもチャット機能を使って多数質問をいただき、「これからの時代の組織」について熱いトークを繰り広げました。
「これからの組織」をつくっていくためには、組織づくりに関わる経営者、社員の一人ひとりが今いる自分の場所と在り方を見つめ、自律していくことが大切なのだとわかりました。会の最中に西坂が述べた言葉も象徴的です。
「大変な時代に近づいていることは、経営者が一番知っている。だからこそ、『うちの会社にいることで、5年後10年後が苦しい生き方になるのはまずいよね』と我が子に思うくらい切実に、社員の人生を考えていかなくちゃいけない。」
では、「これからの時代の組織」では実際にどんな理論・手法を用いた組織づくりを行なっていけばいいのでしょうか。第2回のイベントへ続きます。
【ご案内】4/28開催!vol.2武井浩三氏「これからの時代の組織を成り立たせるシステム」
次回4月28日のテーマは「組織システム」です。ダイヤモンドメディア株式会社の創業者で、社会システムデザイナーの武井浩三さんからお話しいただきます。
武井 浩三
株式会社eumo CJO(Chief Jinen Officer)
(一社)自然経営研究会 発起人/代表理事
ダイヤモンドメディア株式会社 創業者
ダイヤモンドメディア株式会社での経験や、自然経営研究会での研究をもとに、「これからの時代の組織」を成り立たせるシステムについてたっぷり語っていただきます。
この分野の第一人者である武井さんとともに、これからの時代の組織について深めていきましょう!!
組織システム分野の第一人者である武井さんとともに、これからの時代の組織について深めていきましょう。
完全オンラインでの開催で、参加希望者を募集しています。
以下ページからチケット購入できますので、ぜひご参加ください。