自転車盗難の謎?!

今回初めて研究の一つを投稿することにした。

第1回は東北大学中谷先生が開発した、STDToolを使用して2020年大阪市内における、自転車盗難の三次元カーネル密度推定を行った。

1.データ構築
自転車盗難のデータに関しては大阪府警察犯罪オープンデータサイトから2020年自転車盗難CSVファイルをダウンロードしデータが抜けている部分を消去し発生地が大阪市内を抜き出した。その後、東京大学アドレスマッチングサービスから日本測地系に変換し投影変換ツールで平面直角座標系に変換しデータの追加からXYポイントデータとしてArcGIS上にプロットする。

2.事前分析
被害箇所をポイントとしてプロットしたうえで、まず、カーネル密度推定を行った。


カーネル密度推定

自転車盗難は中央区・浪速区に強い集積,鶴見区・都島区・淀川区に弱い集積がある。やはり、駅との関係性は高いと考えられ大阪における主要な駅に強い集積がありおそらく駅の駅の使用者数との関係性があるだろう。

3.三次元カーネル密度推定
上記のデータを作り上げたうえで犯罪には季節性があることから、時間軸と空間軸両者が同時に分析できる三次元カーネル密度推定は有効である。
そこで、三次元カーネル密度推定を行うためNakayatomoki LabからSTDToolをダウンロードしArcGISProにダウンロードした。その後、被害が起きた年:月:日の日付も含めた三次元カーネル密度推定を行った。


三次元カーネル密度推定

分析結果を見る限り、自転車盗難が多い時期と少ない時期があることがわかる。加えて、突発的に自転車盗難が発生している地域もあり何らかの現象が起きた可能性がある。自転車盗難が減少している期間はコロナウイルス蔓延に伴う自粛期間中と重なることからそもそも人流が止まったため自転車盗難が減少したと考えられる。

4.まとめ
自転車盗難は窃盗事件の中で最も犯罪回数が多い犯罪だが、自転車盗難が起きやすい地域と起きやすい時期があることが分かった。加えて、コロナウイルスに伴う自粛期間の影響を受けていることから、人流が止まることによる犯罪の低下が考えられるだろう。

5.参考文献
①.平岡 透 2006年犯罪の少ない都市づくりのための
  都市環境内シチュエーション分析の試み創造都市研究会第1巻創刊号
②.上杉 昌也, 樋野 公宏, 矢野 桂司2018 年
  ジオデモグラフィクスによる社会地区類型を活用した窃盗犯の発生要因
  に関する小地域分析E-journal GEO 13 巻 1 号 p. 11-23
③.杉浦 完征, 樋野 公宏, 浅見 泰司, 山田 育穂2022 年
  鉄道駅周辺における環境要因と自転車盗発生との関係
  日本建築学会計画系論文集87 巻 791 号
④.雨宮護,大山智也2021年
  日本の大都市における犯罪の空間的偏在とその年次変化東京23区と
  大阪市において2008~2019年に認知された8罪種の分析
  都市計画報告集19 巻 4 号 p. 408-411
⑤.Graham Farrell. Ken Pease 1993
  Once bitten, twice bittenRepeat victimisation and
  its implications for crime prevention

6.分析手法
 Tomoki Nakaya Lab
 STDTool 三次元カーネル密度推定
 https://nakaya-geolab.com/tools/

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