#推薦図書の企画に参加します

推薦したい図書は様々なジャンルにあるのですが、シンクタンクの報告書の体裁をとった、皮肉まみれの本を一冊紹介します。
レナード.C.リュイン著、山形浩生訳「アイアンマウンテン報告―平和の実現可能性とその望ましさに関する調査」

米ソの核戦力が人類を滅亡させかねないレベルに達していた「恐怖の均衡」の時代、冷戦終結と平和を求める声が多かった中において、本書ではあえて巨大な核戦力の維持こそが社会を安定させる公共投資のようなものである、と論じ、さらに冷戦終結による「平和の勃発」に備える事を説いています。

本筋以外にも、「核戦争後に虫が増加することに備えて、国防総省では鳥を飼育している」というような怪しげなこぼれ話も書かれていたりしますが、現に冷戦が終結して、平和が「勃発」した後の時代に生きる私たちから見ると、著者は皮肉として書いたつもりの内容が、実は現実の問題を正しく捉えていたりするあたりが面白いところです。

また、文書の体裁もなかなか洒落ているので、何かの報告書を出す時に真似てみるのも面白いかもしれません。

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