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ID研修会を修了して

 「日本語教師のためのインストラクショナルデザイン」というウェビナーに参加させてもらい、本日が最終日だった。インストラクショナルデザイン(以下ID)…聞きなれない言葉だ。聞きなれないどころか言い慣れない。結局最後まで言い慣れなかったし、なんだったら、このPCまで変換してみると「インすと落書成るデザイン」となり、一見すると粗雑なデザインという印象まで与える。

 そもそものきっかけは、ツイッターでお知り合いの方々が参加されていて一様に評判が良かったので自分も受けてみたのだ。主催者は「あひるさん」 今も受講者を募集しているので、ここに勝手に貼っておきます。

 結論から言うと、これが大変勉強になった。受講しようか考慮中の人のため、また受講した自分自身の振り返りのため、ここで内容をかいつまんで紹介しようと思っているのだが、既に忘れてしまっている部分もあるので誤り等がございましたらご指摘ください…

 授業は全てZOOMで行われる。PCからでも須磨穂…スマホからでも繋がる優れもののアプリだ。計3回+1回のオリエンテーションで構成されているのだが、先ずはオリエンテーション前に以下の課題図書を読む必要がある。

 全体の流れとしてを簡潔に紹介すると以下の通りである。

1.課題図書を読む
2.オリエンテーション
3.講座一回目 インタビュー
4.講座二回目 一回目のインタビューを参考にカリキュラム作成
5.講座三回目 模擬授業

 それぞれの講座の前には、事前に用意された動画を視聴し予習しなければならない。いわゆる反転授業ってやつだ。また一回の講座が修了したら次回に向けての宿題が出される。そもそもこの「日本語教師のためのインストラクショナルデザイン(今回は一発で出た!)」の構成そのものがIDの理論を元に作られていて非常に効率的なのだ。ただ一点付け加えるなら、この「効率的」というのがやっかいで、それは言い換えるなら「水面下での負担が生じる」という事になる。具体的には上記でも挙げたように、毎回の講座終了後に出される課題を遂行する時間と、動画で予習する時間が必要になるので、朝から晩まで超多忙な方は睡眠時間を少し犠牲にする必要が出てくるのである。因みに私も一回目と二回目の頃は、ちょうど台湾の正月前にあたり超多忙で平日になかなか時間が取れず、講座前日の金曜日の晩に泣く泣く睡眠時間を犠牲にして課題に取り組んだ。おかげで毎週土曜日朝の講座の際にはZOOM上で超寝不足フェイスを晒す結果となってしまい、本来は八面玲瓏、容姿端麗の塩系イケメンなのだが、ZOOM上に映しだされる姿がやたら顔の濃い関西系どろソース顔のオッサンになってしまった事が心残りだった。三回目の今日は正月休みのおかげで睡眠時間も確保できたのだが、前の二回のダメージの影響か、ついぞ本来の岡田将生フェイスは戻って来なかった。今後も戻ることはなさそうだ。

 さて、全体的な流れを紹介したところで、次は順を追って紹介したい。

オリエンテーション

 前項の課題図書を読んでオリエンテーションに臨む。ここで同期の皆さんと初顔合わせになるので軽く自己紹介などをし打ち解けてからのスタート。オリエンテーションの主な目的は以下の通り。

①今後の授業の進め方
②Slackの使い方
③Miroの使い方
④モデルケースの提示

 ②を知っている人はいても③を知っている人は少ないのではないか。わたしは前職が東京都のICT支援員でIT関連には比較的明るい方なので、もちろん両方とも知らなかった(泣) 因みに③に関してはポストイット(いわゆる付箋的なアレ)のデジタル版だと思えばいい。アイデアをペタペタ貼るのだ。そしてモデルケース(ある学習者のお悩み)が提示されオリエンテーションは終了する。今後はそれに沿って授業を組み立てていくのであるが、ここで宿題が出される。

モデルケースで読み取れた情報と読み取れなかった情報をMiroで貼っちゃいなYo You!

実際はこんなジャニーさんみたいな口調ではないことを本人の名誉のためにも明記しておく必要があるだろうが、いずれにせよ一回目の前の宿題なのである。そしてこれ以外にも予習動画を三本ほど見る必要があった。

一回目の講座

そして最初の講座では参加者の一人がモデルケースの人物となり、みんなでインタビューを行い、それを元に分析しゴールを設定した上でルーブリックを作成する。大事なことなので太字にしました。もちろんその後、次回にむけた予習動画を見る必要があった。

二回目の講座

次に前回設定したゴールと現状のギャップを徹底的に可視化した上でコースを構成する各ユニットとその担当者を決める。担当者は各ユニットで達成すべきゴールとその下位スキルを洗い出し、学習成果の分類をする。その後は動画を一本視聴し、9 events という表に、この回で洗い出した前提スキルマップの内容を落とし込み授業の構成を作り提出。GOサインが出たらいよいよ担当授業の準備に取り掛かる。

三回目(最終日)の講座

二回目と三回目は2週間の空きがあった。これは今まで習ったことを模擬授業に活かす為にはある程度まとまった時間が必要であろうという、あひるさんの親心なのだが、わたしは前々日の夜中(日付上は既に前日)から取り掛かるという暴挙に出てしまった。親の心子知らずとはよく言ったものだ。いや、言い訳をさせて欲しい。なにせ台湾の正月真っ盛りで、彼女の実家に片道8時間かけて里帰り?をし、昼と晩は親戚一同そろって食事するという拷問を受けていたのだ。途中自由時間はあるものの、飯時に帰らないと鬼電がかかって来て怒られる始末だ。高校時代だって禄に家で食事しなかった放蕩息子の私にとって、決められた時間に食事するというのは、レクター博士の拘束具なみの威力を発揮したのである。そういや高校時代、珍しく家で晩御飯を食べようと帰宅したら父、母、妹、そして妹の彼氏が四人がけのテーブルで美味しそうな母の手料理を食っており、私は一人離れた座卓に座らされた挙句、出てきたのがカップヌードルだった事がある。クレームを入れたが「お前の分のご飯を用意してなかった」の一点張りで埒が明かなかった。しかもカップヌードルには卵すら入っていなかった。(参考画像:レクター博士の拘束具)

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 花蓮という風光明媚な秘境の地に軟禁されていた以外にも、わたしの担当ユニットが過去三回のユニットの総復習であった為、「みんなのが出揃ってからでいいだろう」的なとっても甘い考えがあったのも否めない事実である。因みにこの間、二回ほど同期の人たちとZOOMで集まり相談報告などをしていたので完全にさぼっていた訳ではないことは、わたしの名誉の為に付け加えておきたい。なにはともあれ三回目は模擬授業を行い、それをみんなで論評しあった。

 さて、ざっと述べると以上なのだが、あまりにも端折り過ぎた感があるので、稚拙な例を挙げて少しかいつまんだ解説をしたい。例えば以下のようなモデルケースがあったとしよう。

あなたはテニスのイケメン・インストラクターです。受講生のAさんは一度も試合に勝った事がないのですが、次の大会では悲願の初勝利を挙げたいので個人レッスンを受ける事にしました。レッスン内容を考えてください。

 この文章をお読みの方の半分は女性であろうし、もう半分の男性も残念ながらイケメンとは遠く離れた存在であろうが、ここはひとつイケメン・インストラクターになったつもりで考えて欲しい。ゴール設定はもちろん「テニスで勝つこと」であるので、先ずは現状分析から入る。先ほども挙げた通り、ゴールと現状のギャップを可視化することからIDは始まる。次にゴール達成の為に以下の問題点を洗い出したとしよう。

①サーブが上手く決まらない
②レシーブが下手
③そもそも試合を通して動くスタミナがない

ここまで書いてて思ったのだが、なぜ私は空手やラグビーといった自分が経験したスポーツではなく、禄にやったことがないテニスを例にしたのだろうか。テニスと言えばその昔、中学時代にクーポンとかいうアホみたいな渾名のテニス部所属の友人と口論になり、何故か奴の得意なテニスでケリをつける事になったのだが、そこで激戦の上、勝ってしまい自分が世界一テニスの才能があると信じきってしまった私は、今の彼女と付き合う前に当時テニスが趣味だった彼女にカッコいい所をみせつけようと誘い出し、コテンパンに打ちのめされた挙句翌日から体調を壊し寝込んでしまったことがあるくらいトラウマを持っていたのだ。そういや親父もその昔、大学時代に空手部だったくせに一週間練習し、テニス部のキャプテンと勝負し勝ったと豪語していた。血は争えないというか大幅なスケールダウン感が否めない。もし将来私に子供が出来たら、更にスケールダウンするだろうから絶対にラケットには触れさせない事をここに宣言いたします。それは兎も角として、①の「サーブが上手く決まらない」を一つのユニット(=ゴール)と捉えよう。ここから逆算的に下位ユニットを考えていく。例えば以下のように。

サーブを上手く決める

狙った所にボールがいくようにする

上がったボールに上手くラケットを当てる

きれいなトスを上げる

 本来は下部になればなるほど、要素は増えていくのだが、いかんせんテニスにトラウマがある素人である。これ以上思いつかない。更にここで各パートに学習成果の分類の紐付けをするのだが、これによって例えば「左右にステップする」とか「ラケットを水平に振る」といった余計な内容を弾くことができ、結果として受講者にとって大変効率的な内容に仕上がるのである。

 これ以上の説明は時間の関係と、私の理解力不足並びに、お腹が減ってきたので晩御飯を食べに行きたい関係上割愛させていただくが、兎に角一度受講してみる事をお勧めする。これをお読みの多分イケメンではない貴方が経験年数の浅い教師ならば、きっとこれからの指針になる上、わたしが通って来たような回り道をしないで済むであろうし、必ずしもイケメンでない貴方が大学(院)で日本語教育は沢山勉強してきたor経験年数が豊富であったとしても、自分を見つめなおす良い機会になるだろう。そして後者の間違ってもイケメンではない貴方が仮に受講した上で「てめーが薦めるから受講したけど、そんな事は全部理解してたし出来てたし何一つ有益な事はなかったぜ」と仰るなら、それは絶対にイケメンではない貴方が世界最高峰の教師か、はたまた愚直なまでに愚鈍な証左である。そんな方は是非台湾までお越し頂きたい。その際には受講料並びに往復の飛行機代と現地期間での宿泊及び飲食代の清算を、巷で話題沸騰中のアベ・ワンコ先生が私に代わり対応させていただくことをここに明記し、この項を終わりとしたい。


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