『白昼夢の青写真』クリア後感想（ネタバレ有）
●はじめに
はじめまして、ガヤチャソと申します。
久しぶりにエロゲーをプレイしました。
Laplacianというメーカーの『白昼夢の青写真』という作品です。
TwitterでSteam版のセール情報を見かけた事で存在を知りました。
調べてみたら大絶賛されており、これやらんと後悔するかもなーと思い購入に至りました。チョロいですね。
あ、もちろんR18版です(だってエロゲーならHシーン欲しいじゃん)
ボロ泣きしながらようやく読み終えたので、今回はその感想を書いていきます。
※ネタバレ有るのでまだ読み切っていない方はブラウザバック推奨です※
●全体的な感想
結論から言えば、マジで面白かったです。
心を揺さぶられる作品でした。歯を食いしばって涙を流しながらプレイした作品は、これが初めてかもしれません。
特にCase1を読み終えた後はあまりの報われなさに怒ってこんなお気持ち表明しちゃってます。
中でもCase0は読んでいて特に辛かったです。
なぜ、世界に尽くした世凪と海斗が幸せになれないのか。
なぜ、世凪は脳を切り取られ、自我を奪われ、生きる機械のように扱われなければならなかったのか。
これではもう、死ぬよりも残酷じゃないか。
正直、この辺りで読むの辞めたくなりました。
……それでも、読み終えて本当に良かったと思います。
読み終えた後の達成感、カタルシスが他の作品の比ではなく、１人で「う"お"お"お"ぉ"ーーーっ"！！！よ"か"っ"た"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーー！！！」
と泣き叫んでしまいました。
「報われるべき2人が報われた」
この作品において、この終わり方は読者への最高の報酬だと思います。
●Case別感想
・Case1
とにかく有島に感情移入してしまって辛かった。
本当に辛かった。
というのも私は、2年ほど前に自分で幾つかTRPGのシナリオを書いていた事がありました。
友人達と集まってそのシナリオを遊んだのですが、その時に言い放たれた
「なんか微妙だったわ」の一言と
「〇〇(友人)のシナリオ最高だったよねー」という言葉を受けました。
そのシナリオは私もやらせてもらったのですが、自分の中でカルチャーショックが起きるほど面白く、あまりに差を感じてしまい筆を置いてしまったという経験があります。
その経験と有島の境遇が自身と重なってしまい、読んでいて古傷を抉られるような気持ちになった事を覚えています。
だからこそ凛の「先生の書いたもの、読んでみたいけどな」の一言は、確かに有島にとって救いの言葉になっただろうなと思います。
否定された部分を認めて受け入れようとしてくれる女性に男は弱いのです。
凛も魅力的でした。
特に祥子に負けじとアジの3枚おろしの練習しまくってる所。
普段は大人びていて余裕のある印象を与えるのに、中身は負けず嫌いな子供というギャップで「可愛いなお前！」と思ってしまいました。
ただ、後半は凛から有島への愛情が描写の割に強すぎる印象を受けました。
凛、いつの間にそんなに有島の事好きになってたん？
初H以降の凛に対しては病んでる？怖っ！と思ったのが正直な感想です。
まぁ、そんな所も魅力的なんですけどね。
終わり方が本当にモヤモヤしたので、エピローグで幸せになってくれてよかったです。
・Case2
オリヴィアがマジで可愛い。
Case2はテンポが良く、話も理解しやすかったです。
キャラクターも濃く、特にキキとスペンサーはCase2を象徴するキャラだと勝手に思ってます。
そんな濃いキャラの中でもオリヴィアは別格にキャラが立っていて、男装した時の声がイケボすぎてビビった覚えがあります。
神代岬さんの演技力凄すぎるだろ……
Hシーンも一番エロいと思いました。
自分が巨乳好きというのもありますが、それ以上に「愛情の確認」に留まらない「ガツガツ求めるような行為」が煽情的に映りました。
やっぱり……性欲強いヒロインは……最高やな！
終わり方に関しては
ウィルはオリヴィアと別れた後も物語を書き続け、結果的に時代は変わり女性が舞台に立てる時代になった。
↓
そしてウィルの書いた脚本の舞台で女優として活躍するオリヴィアと再会し2人は結ばれる……。
みたいな展開を頭の中で想像していたので、エピローグの終わり方はちょっと解釈違いだったかも？
おまけシナリオが面白すぎた。
俺は……早漏マンだ。(迫真)
・Case3
Hシーンの描写が最高。
カンナとすももの甘酸っぱい青春物語。
カンナ→すもも→梓姫と出会いの輪が広がり、3人が互いに影響を受け、それぞれの道を見つけ、歩んで行く構成が綺麗にまとまっていて感動しました。
中でも鳥肌が立ったのはエピローグで梓姫がハチマルを返す所です。
ハチマルで始まりハチマルで終わる。こうして大切な想いが受け継がれていくんだと思うと、なんだかエモいですよね。
このシナリオは本当に悪い人間が出てこないので、とにかく安心して読み進める事ができました。
人との出会いの大切さがよく分かる話だとも感じていて、公式コラムの
「その人の行動が他者に与えた影響で、その人の人格、価値が定義される」
という部分を如実に表しているなーと感じました。
自身の価値を定義する為には他者の存在が必要不可欠。
↓
その為にはまず他者と出会わなければならない。
↓
その出会いの中で、自身の行動が相手に良い影響を与える事で、自身の人格が評価され、価値あるものとなる。
引き籠っているだけでは何も変わらない。
どんな魅力も見えなければ意味が無い。
カンナとすももはそれを互いに教える存在になった。良いパートナーですね。
すもも：カンナ君かわいー♪
俺：お前じゃい！！
はー！
いい出会いねーかなー！俺もなー！
・Case0
読んでて本当にしんどかった。
開口一番これかよって感じですが、本当に辛かった。
特に「基礎欲求欠乏症」が自分にはブッ刺さりました。
今まで
「もっと幸せになりたいっちゃなりたいけど、今でも十分幸せだから無理に足掻く事もねーかなー」
って思考で生きてきたので、俺みたいな奴が真っ先に死ぬじゃーんって感じで軽くショックを受けました。
でも、小さな幸せをしっかり幸せとして受け取れるっていうのは良い所だと思っているんです。
現に海斗の母も世凪も、小さな幸せも糧にして、周囲の人を笑顔にする、非常に魅力的な人間として描かれています。
だからこそ、そんな良い人達ほど早死にしてしまう「基礎欲求欠乏症」の設定は本当に残酷だなと感じました。
また、公式の配信動画
『白昼夢の青写真』科学考証・企画協力のミスターフジノと語り尽くす会
の3:19:00辺りから、この設定に対して童貞の例えが出されます。
要約すると
「童貞卒業したいと思っている人がいる」
「でもその人は童貞卒業の為の行動を起こしていない」
「結局その人は童貞卒業する気が無い」
「欲求を満たす為の行動を起こしてないんだったら死んでるのと一緒」
この考えが「基礎欲求欠乏症」の根底にあるとされています。
童貞の私には耳が痛い話です。
しかし、野心に溢れる海斗は夢に突き進み、何かを成し遂げるほど、身近な幸せに気付く事ができず、ただ失っていく。
頑張って努力するほど世凪との時間や関係、思い出が失われていくという構図は本当に皮肉で、基礎欲求の有無なんて関係無しに辛い思いをしてゆく海斗と世凪が本当に可愛そうで、悔しかった。
登場人物は入麻が本当に良い奴で、Case0の良心でした。
出雲も本当に良いキャラしてましたね。
まさかCase1～3の主要キャラは全て出雲がアドリブで担当していたなんて……名優すぎる
(メタ的な話ですが声優が被っている理由をこれで説明できるので上手いと思いました)
あと、世凪。
幼少期にこんな娘と出会いたかった……
凛・オリヴィア・すももの3人は全て世凪の思い出や理想から生み出された存在であり、Case0の中のCGで見た事のある構図のもの(図書館とか)がある事から「こうやって繋がってくるのか！」と感心した思い出。
性格はすももが一番近く、キレのいいツッコミが特徴で見てて楽しい。
それだけに、前頭葉切除された後～の世凪は本当に同一人物だとは思えないくらい変わり果ててしまって
「これでもこの娘は世凪だって言えんの？」
「お前が海斗だったらこの状態の世凪を愛し続ける事ができんのか？」
と疑問を投げつけられている気持ちになりました。
それでも作中の海斗は諦めなかった。
その結果、仮想空間で世凪との再会を果たす事ができた。
努力を知っているからこそ、報われた時の感動は大きく、本当に良かったと、心から思いました。
ふと思ったんですけどメラノーマの話が作り話だとしたら、なんで地上に出たシャチは死んだんですかね？
上層民が防護服着て地上に出ている事から、日光以外に命を落とす要因があり、それで死んだ？
見直せば分かるのかもしれませんがもう一度Case0を読み直す勇気が出ません（笑）
●おわりに
まずはここまで読んで下さっている方に感謝を。
冗長な感想にお付き合い頂きありがとうございます。
自分自身ここまで心を揺さぶられた作品は本当に久しぶりです。(まどマギ以来かな？)
この気持ちを忘れたくない。
こんなに良い作品があったんだぞ。
この気持ちを書き留めておきたい。
その本心のままに、久しぶりに筆を取りました。
【海斗の語る物語を聞く私達もまた、世凪の世界で過ごす人々の1人なのかもしれませんね。】
公式のDiscordサーバーで書き残した言葉です。
この素晴らしい作品に出会えた事に感謝を。
拙い文章でしたが、お付き合い頂きありがとうございました！
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