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SIは見た No.48『No.1』の場合

私たちは今、どんな時代を生きているのか──。サンデー・インタビュアーズ(SI)とは、そんな問いを探求するロスジェネ世代の余暇活動です。

月に一度の日曜日、6人のメンバー*は84巻あるホームムービー*をひとつずつ紐解きながら、オンライン上で話し、聞き、考えます。

今月(2022年11月)のお題は、No.48『No.1』。さて、そこには何が写っているのでしょうか。メンバーの言葉を紹介します。

*本テキストはSIが毎月行うオンラインワークショップの記録です。
*メンバーは2022年度の公募で集いました。
*ウェブサイト『世田谷クロニクル1936-83』をご参照ください。

No.48『No.1
撮影時期|昭和38年11-12月
撮影場所|日比谷公園、会社寮(三宿)、銀巴里など
提供者が8ミリフィルムを始めた頃に撮影したもの。日比谷公園、有楽町のパチンコ店、かつて三宿にあった会社の寮、シャンソンが聴ける喫茶「銀巴里」。撮影したフィルムをカメラ店で現像に出すと、約3日後には見れたという。勤めていた映画配給会社は忙しく、基本給ほどの残業代がついたこともよくあった。

『世田谷クロニクル1936-83』より

00:13

「高層ビルが増えてきた日比谷でも日生劇場だけ昔のままだ。木々が低いせいか、今の日比谷公園よりもずっと開放感があるように見える」

「昔の大きな公園には、よく噴水がある気がする。公園の噴水っていつ頃からつくられ始めたんだろう。新しく噴水が設置されるなら、現代なら鑑賞するだけのものではなく、水辺で遊べるようなものになりそう」

00:39

「有楽町のパチンコ店は現在もある駅前のところ? そもそもパチンコ店を映像に収めようと思ったところ、なんだか『ロスト・イン・トランスレーション』みたい」

「パチンコ台に向かう男性たち。人と人の間隔がとても狭く見える。立ってパチンコを打っていた?」

00:53

「パチンコ玉を1つだけ撮ってる。ピンぼけでかわいい」

「パチンコ玉に寄っていくシーンが続くのは撮影者が好きな演出なんだろうか」

「パチンコ玉にカメラでズームをするとピントがずれてしまう。図らずも示唆的なカットに思えた」

01:31

「ちょっとズームして部屋の中を見渡す。ファインダーを通して自分の部屋を見ることを楽しんでいるよう」

「このあたりのシーンで、ほんの一瞬だけ人の顔らしきものが映るのが気になる。カレンダーに載っている女性の写真かと思ったけど、一時停止してよく見ると、本棚の前に座った男性だ。撮影者自身の姿かもしれない」

01:52

「こけしからこけしの顔アップが印象的。さっきのパチンコ玉と同じように、被写体に寄ってシーンを終わる。意図的な演出?」

「『こけしを飾る』ことは、いつ頃まで当たり前だったんだろう」

02:39

「真珠のイヤリングと長いネックレスが、パチンコ玉の質感と似ている。クローズアップを多用したり短いカットでつながれていたり、撮り方と編集に作り手の好みがよく現れている映像だ」

サンデー・インタビュアーズとは
昭和の世田谷を写した8ミリフィルムを手がかりに、“わたしたちの現在地” を探求するロスト・ジェネレーション世代による余暇活動。地域映像アーカイブ『世田谷クロニクル1936-83』上に公開されている84の映像を毎月ひとつずつ選んで、公募メンバー自身がメディア(媒介)となって、オンラインとオフラインをゆるやかにつなげていく3つのステップ《みる、はなす、きく》に取り組んでいます。本テキストは、オンライン上で行うワークショップ《STEP-2 みんなで“はなす”》部分で交わされた語りの記録です。サンデーインタビュアーズは「GAYA|移動する中心」*の一環として実施しています。https://aha.ne.jp/si/