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ゲイと田舎とカミングアウト

最近なんとなく、転職の選択肢がまとまってきた。



僕はどうも即断が苦手で、自分の中で、ああでもないこうでもないとしつこいくらいにこねくり回して考えなければ、決断が出来ない性格なのだと思う。



Twitterで見かけた求人で、田舎の風呂屋の募集があった。



僕は無類の風呂好きで、実は4年くらい前から入った風呂屋の感想を細々と書き連ねてネットの片隅に広げているのだけれど、今だいたい200件くらいになっている。
まあそれくらい風呂が好き。



経済的なことを考えなければ、風呂屋になるのっていいなという気持ちはある。
ただ、今の燃料費の高騰などを考えると、なかなか厳しいものだと思う。



もしかしたら田舎で暮らすことになるかもしれないと具体的に想像し始めると、経済的なこと以外にも、ゲイとして生きていくのは難しいのかなと思ったりする。



田舎の濃い人間関係。自己開示がある程度必要な関係で、ゲイと言わずにずっと生活していくことに耐えられるだろうか。
カムアするという方法もあるが、それで平和に暮らせるだろうか。



一度田舎に行ってしまうと、都会のいわゆる会社というものに戻るのは、相当難しいような気がする。
そこで暮らし続ける覚悟と自信がないと田舎暮らしは厳しい。



僕は人混みが苦手で、都会ほど混まない今の地方の通勤ラッシュでも、毎日嫌気がさしている。
都会的な遊びに興味はないし、消費欲もないので、ライフスタイルとしては地方向きだと思う。



ライフスタイルは地方的なのだけど、ゲイとしての生活を考えるとある程度都会でなければ自分らしく生きられない気がする。



カミングアウトしまくりたいとか思わないけど、今よりも嘘をついたり誤魔化したりしなければいけない環境は嫌だなと思う。
ライススタイルか、ゲイライフか、どちらの自分らしさを優先させるのか、という話。



あともう一つ。
年齢的に、今が都会の会社に転職出来るラストチャンスだという気がする。



今までの10年、めちゃくちゃ厳しい会社にいたわけじゃない。
一度都会の会社の厳しさに身を当てた方がいいし、それが出来るラストの年齢なのかと思う。
苦あれば楽あり、苦労が必要という典型的な日本人気質なのだと思わされる。



田舎に行ってゲイとして死んでしまうことは嫌だなと思う。
ささやかにゲイライフを充実させることが、僕の生きる糧になっていたのだなと思う。



杞憂し過ぎるほど無駄なものはないのだけれど、仕事関係の人には言えないし、転職エージェントにも言えないし。
ゲイじゃなかったらこんなことで悩まないのかもしれないなんて思い始めてしまうと駄目だ。



案外こういうささやかな事物から、生きづらさって生まれてくるのだなと思う。



僕にとってのゲイであるという日常が、世間一般の人からすると日常ではなく、それぞれの日常が交わることはない。



その2つの日常の溝とギャップがおそらくは悩みの根源で、人は皆、自分と世間が完全に一致することはなく、各々がその溝の間で生きているのだと思うけれど、僕らのような人達の場合、その離れ具合が大きくなってしまうから悩みが大きくなるのだと思う。



都会は職住がきっちり分離されていることが多いので、日常の溝を切り替えやすくなるのだけど、田舎は職住が近くてほぼ地続き。そんな中で切り替えての生活は無理だろう。



新卒の時はゲイデビューもしていなかったし、全然考えずに選んでしまったわけで。



転職を考えることは、これまでの自分を振り返って、これからの自分を想像することであるならば、そこには否応なくゲイであることを考えなければいけないんだなと思った。


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