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マッチョな会社とゲイ

試用期間で働いている今の会社から、本採用の内示を伝えられた。本採用は8月からだから、随分早いような気がする。

断るべくもないので承諾したが、試用期間で辞められなくなったな、という気分になった。



今の職場は男性が多い職場だ。上の人は全員男性。元々業種的に男性しかいない会社だったから、その名残り。

複数人での出張、長時間の車移動が多く、そういう時は男の会社だなぁと思うことが多い。

単純に言えば、同じ苦労を共有することで絆が深まるというようなことが、コミニケーションのベースにあるなぁと思う。

出張の帰りが何時になったとか、何キロ運転したとか。
物理的に汗を流して、汚れながら仕事をするということもあるかもしれない。田舎だからということもあるかもしれない。

スマートさと離れた次元で幅が利くのは、なんだか男子高校生的な価値観なんだなと思った。
一緒にバカをやった経験というか、なんというか。



同じ経験を共有することが、共同体への参加資格であり、また、共有者は無条件に参加を求められるような雰囲気。
別に強制的ではないし、そこまで空気も重くなくて、言ってみれば、俺達一緒に頑張ったよなって言って、カラっと肩を組んでしまえるような男子高校生的価値観なんだけど、組まされた肩を軽く払ったら一気に冷めてしまうような、そんな印象はある。

穏やかなマッチョイズムが見え隠れ。



振り返れば、僕の人生はそう言った永続的な仲間意識を巧く避けてきたなと思う。
親も自分も転勤族で、知り合った人とは離れることが前提の付き合いだった。
共働きで友人と遊ぶことはなかったし、中高の部活と大学のサークルはどれも男女混合だったから、男だけの付き合いをよく知らないままこの歳だ。

そんな付き合いを、どこか青臭いなと思うのは僕がゲイだからだろうか。

でも彼等は無邪気にそれを愛しているし、僕にもそんな無邪気さを裏表なく求めている気がする。
その上、仕事で最終的にものを言うのは、そんな無邪気な仲間意識なのだとも思う。



男の人生の必修科目があるとすれば、だぶんこういうことで、その共通言語を持たないと会話が成り立たない。

遅過ぎた履修の時期が、僕にも訪れたのだろうなと思っている。

単位取れるかは、知らんけど。


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