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「大学に行けば,友達ができる」

 「大学に行けば,友達ができる」と思っている学生が多いようだけれど,それは違うのではないか。たくさんの学生がいる大学に来て,かえって孤独を感じることも多いはず。

 以前に,トイレで一人お昼ご飯を食べる学生のことが話題になったように,同じ大学・学部での友達ができない(いない)学生は目につかない(大学としては目を背けたい)が,かなりの数にのぼるはず。

 多くの学生は,誰かから声をかけられることを期待している。確かに,自分から友達になりたいと思って声をかける学生は,今日でもいるだろうが,ごく少数だろう。多くの学生にとって,初めての相手に声をかけるのには,ものすごく勇気がいる。クラスやゼミで知り合いになったとしても,個人的にコンタクトをとるのは,ものすごく勇気がいる。

 声をかけるのにものすごく勇気が必要なのは,相手がどのような反応をするかわからないし,期待した通りの反応をしてくれないかもしれないからだ。だから,たいていの学生は自分から声をかけることをあきらめる。

 そして,声かけできなかった自分を責めて自己肯定感を下げ,ますます声かけができなくなる。周囲の学生が仲良くしているのをみて,友達になれなかった自分を責めて自己肯定感を下げ,ますます声かけができなくなる。「大学に行けば,友達ができる」のに,それができない自分を責めて自己肯定感を下げ,ますます声かけができなくなる。たくさんの学生がいる大学に来て,かえって孤独を感じる。

 いま大学がやるべきことは,「大学に行けば,友達ができる」幻想を振りまいて対面授業を強行することではなく,オンラインであっても学生たちの友達づくりを支援することだ。

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