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世界一わかりやすいRun Schemeのお話
皆さまこんにちは。
仁川です。
今回は、アメリカンフットボールにおける、Run PlaysのSchemeの概要についてお話しします。
Run Playsの原理原則のお話になるので、「アメリカンフットボールを深く理解したい方」以外はお勧めしません。
個人的な感情で言うと、日本中のアメリカンフットボールに関わる方に見てもらいたいですが、色んなプレーを丸暗記する方が楽という方には向いてないnoteになります。
その点ご理解いただいたうえで読んでいただけるととても嬉しいです。
では、早速見ていきましょう。
Run Playsの種類と作られ方
3つのRun Scheme
前回のnoteで私はRun Playsについて軽く言及していますが覚えていますでしょうか。
膨大な数のRun Playsが存在するが、原則3種類に分けられるとお話ししました。
その三つが
・Zone Scheme
・Gap Scheme
・Duo
でしたね。
今回のnoteではそれぞれのSchemeのConceptの触れていきます。
おさらい
SchemeのConceptの話に入っていく前に前回のnoteでお話ししたRun Playsの作られ方について触れておきましょう。
Run Playsがどのように作られているかは以下観点からであるとお話ししました。
・RBの走らせ方
・RBの走る場所
・RBの走るタイミング
RBの走らせ方については、複数の選択肢から最適なものを選ばせる走り方(Zone Scheme)、決められた走る場所に一直線に向かう走り方(Gap Scheme)、2つの選択肢からLBの動きを見て走る場所を決める(Duo)の3種類があるとお話ししました。
走る場所に関しては、走らせ方を決めた後、Zone Schemeであれば走るエリアを、Gap Schemeであれば走らせたい特定のGapを指定し、Duoであれば走らせたい2Waysをあらかじめ決めておいて、プレーが始まってから選択してもらうとお話ししました。
走るタイミングに関しては、ハンドオフのタイミングを変えたり、WRにボールを持たせたり、ボールの渡し方を変えたりして決定するとお話ししましたね。
ここを理解していないとここからの話が分かりにくくなるので、しっかり押さえておきましょう。
Zone Schemeについて
Concept
Zone SchemeのConceptは「複数DayLight発生させる」ことです。
なので、Zone SchemeのRun Playsは「複数DayLight発生させるRun Play群」のことを指します。
どういう事かと言うと「Running Laneを複数作って、RBがその中から最適なLaneを選択する」ことを狙ったRun Playsになります。
以下の画像をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118516457/picture_pc_aee2ca70261f763dce8115905e27b744.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118516458/picture_pc_f0d4f04bfac12f92f10104f56efb116a.png?width=800)
この赤のフラグが立っているところ、つまりDLがセットしていないところにDayLightが発生します。
この一線目(DLがセットするところ)で人がいないところがDayLightになるという考えはZone Schemeにおいて重要なところになるのでしっかり押さえるようにしましょう。
Blocking Rule
「複数のDayLightを発生させる」ことがZone SchemeのConceptでした。それでは、どのようにして「複数のDayLightを発生」させるのでしょうか。
それはZone Blockingです。
どういうことかというと、「OLが人ではなく決められたZone(Gap)に来たDefender」をBlockするというRuleです。
以下のツイートを見てみてください。
Inside Split Zone with Jet Motion 🛩️ helping to hold the LBs for a second #DaBears #RTDB pic.twitter.com/uPyzT95xCZ
— Run The Damn Ball 🏈 (@Run_TheDamnBall) October 2, 2023
このようにOL全員が自分の右側のGapに来たDefenderをBlockする事によって複数のDayLightを発生させています。
Zone BlockingにするとDayLightが複数発生するカラクリ
DayLightはどこに発生するとお話ししたか覚えてますでしょうか。「一線目(DLがセットするところ)で人がいないところがDayLightになる」んでしたね。
ということは、Blitzが入ってきたり、全てのGapにDLがセットしていない限り、元々DayLightは存在しているということになります。
そこで、OLに特定のDefenderではなくそれぞれに割り当てられたGapに来たDefenderをBlockさせることによって、DLがスラントしたり、スタンツを入れてきたりしたとしても、DayLightの数は変わらず、複数DayLightを発生させることができる、ということになります。
これがZone Blockingをすることによって複数DayLight発生させることが出来るカラクリになります。
・・・とはいってもイメージしにくいと思うので、以下の画像をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1696945530431-A5EDNSAfbE.jpg)
このようにDLがスラントしたり、スタンツを入れたりしたとしてもDayLightの数は3つから変わりません。
(Conceptの4-3のところでもDayLightの数は3つでしたが、DLが動いても数は変わらないということです。)
ここから、Zone BlockingがDayLightを複数発生させるのに有効であるとわかっていただけたかと思います。
Zone Schemeの強み弱み
さて、ここまではZone Schemeの概要の説明をしてきましたが、最後にZone Schemeの強みと弱みを確認しておきましょう。
Zone Schemeの強みは
・スタンツ、スラントにある程度強い
・走るLaneに複数の選択肢が存在している
事だと言えます。一つ目の理由としては、人でなく自分の担当するZoneに来た人間をBlockするので、スタンツ、スラントで人が動いたとしても理論上そこまで影響は出ないからだと言えます。
(もちろんZone Schemeに強いスタンツがあったり、スラントでタイミングずれて取れないこともあります。)
二つ目の理由としては、複数の選択肢が作られるとディフェンスからすると絞りにくくなるからです。常に走るLaneが複数作られると、同じプレーでも走る場所が変わってくるので、ディフェンスが絞りにくくなると言う事が言えます。
続いて、弱みについては以下の通りです。
・シンプルなBlockingのため、Blockerにフィジカルが求められる
・複数選択肢があるため、RBに技術と判断力が求められる
一つ目に関しては、ディフェンス目線で考えると理解しやすいと思います。複数DayLight発生させられるから守りにくくなるんです。という事は、GapをSqueezeして閉じてしまえば、DayLightの数は減らす事ができます。
どう言うことかというと、BlockerがDefenderに押し負けてしまうと、Gapの大きさが縮められて、DayLightとして機能しなくなるということです。
しかし、Blocking自体はシンプルなままなので、Defenderに押し負けない、刺されないだけのフィジカルが求められます。
二つ目に関しては、複数の選択肢から正しいLaneを判断する能力と自分が走るLaneを探しながらスピードを落とさない技術が必要になるということです。Zone Schemeの特徴が強みでもあり、弱みにもなりうるということですね。だからしっかり練習しないと精度が上がってこないPlay群とも言えますね。
以上がZone Schemeでした。具体的なPlayに関しては次のnoteで解説しますのでお楽しみに。
Gap Schemeについて
Concept
Gap SchemeのConceptは「特定のRunning Holeを作る」ことです。
なので、Gap SchemeのRun Playsは「特定のRunning Holeを作るRun Play群」のことを指します。
どういうことかと言うと、「特定のGap(A ,B ,C ,D,Box外)にRBが走るための道を作るRun Plays」だということです。
以下の画像をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1696949085228-M41vdCGAlA.png)
例としてPowerを取り上げましたが、これも特定のGap、この場合ならフラグが付いているB GapにRunning Holeを作りにいってるということが見てとれると思います。
「デザインして特定のGapにRunning Holeを作りにいっている」ということが分かればOKです。
Blocking Rule
Gap SchemeのConceptは「特定のRunning Holeを作る」ことでしたね。それではどのようにして特定のRunning Holeを作るのでしょうか。
それはAssignment Blockingです。
どういうことかというと、それぞれのOLにBlockするDefenderを割り当て、狙ったGapにRunning Holeができるようにデザインする、ということです。
もっと簡単にいうと、走る道を作るためにそれぞれのOLに誰をBlockするか決めるということです。
なのでGap SchemeのRun Playsは原則Man Blockingです。
誰が誰をBlockするかを決めているので、スタンツ、スラント、ブリッツが来ても予め決められていた人をBlockし続ける必要があります。
決められたDefenderにマンツーマンでBlockし続ける必要があるということですね。
Gap Schemeで使われるBlocking Techniquesの種類について
Gap SchemeではAssignmentを実行するために、以下のようにさまざまなBlocking Techniquesが使われます。
・Fold
・Pin Pull
・Trap
・Wham
・Pull Out
・Kick Out
・Down Blocking
…etc
プレーをデザインしているので、そのデザインを達成するためには多くの種類のTechniquesが必要になってくる、ということです。
今ここで個々のBlockingについて話してもイメージがつかないと思うので、Gap Schemeの個々のRun Playを説明するときにTechniqueも合わせてお話しします。もしかしたらここに上がってるTechniquesの中で触れないものもあるかもしれませんが、質問してもらうと回答するのでお気軽にお尋ねください。
Gap Schemeの強み弱み
Gap SchemeのRun Playsに関しては、それぞれデザインされているので、Zone Schemeのような共通項で語れる事があまりありません。なので、Zone Schemeに比べて内容があっさりしているように感じられたかもしれませんがご安心ください。その分個々のPlay説明の時に本領を発揮するのでその時を楽しみに待っていてください。
と、言いつつも同じSchemeなので共通の強み弱みは存在するのでそこを見ていきましょう。
まずは強みからです。強みは以下の通りです。
・特定のRunning Holeを作り出すためにフィジカルにBlockすることができる
・PoAが決まっているので、Play Speedを速くすることができる
まずは一つ目の理由からです。Gap SchemeのRun PlaysはRBがどこを走るのか予め決まっているので、Blockする側も思い切ってプレーすることができます。つまり、ゴリゴリ押し込みやすい、ということですね。
続いて二つ目の理由です。予めRBがどこを走るのか決まっているので、PoA(Point of Attack)も決まっています。どういうことかというと、Gap SchemeのRun PlaysはRBがどこ走るか決まっているので、最初に目指す場所がはっきり決まっているということです。その最初に目指す場所のことをPoAと言います。
ということは、目指す場所が最初から分かっているので思い切ってスタートすることができます。よって、Play Speedを高めることができる、というのが二つ目の理由です。
続いて弱みです。弱みについては以下の通りです。
・Blockingをデザインしているため、スタンツ、スラント、ブリッツに脆い
・デザインしているためBlockingが複雑になり、Assignmentエラーが発生しやすい
一つ目の理由に関しては、Man Blockingであることが影響してきます。デザインされているPlaysのため、誰が誰をBlockするか決まっています。ということは、自分が予めBlockする予定だったDefenderがスタンツ、スラント、ブリッツで大きく動いた場合、付いていけなくなる確率が格段に上がります。そうなると、フリーになるDefenderが生まれてしまい、プレーが機能しなくなるということが起こり得るのです。ここの脆さは間違いなくGap Scheme Run Playsの弱みです。
二つ目の理由に関しては、それぞれのプレーごとにデザインされていることが影響しています。誰が誰を取るのかそれぞれのプレーごとに決められているため、覚えることが多く難易度が高くなります。また、相手のDefenseも予めこちらが認識していなかった隊形を使ってきた場合、その都度その都度アジャストする必要があり、とても難しくなります。その結果、エラーが起こりやすいというのが弱みです。
以上がGap Schemeのお話でした。Gap Schemeは覚えることが多いです。だからこそGap Schemeで一番重要なのはそれぞれのPlayごとに「特定のGapにRunning Holeを開けるためにどのようなConceptにしているのか」をしっかり押さえておくことです。詳細は別のnoteで見ていくのでお楽しみに。
Duo
Concept
Duoは非常に面白いプレーで、Gap SchemeぽさもあるしZone Schemeぽさもあるが、どちらでもないというプレーです。
個々のプレーを説明するのは別のnoteで実施予定なので、Duoそのものもそこで説明する予定なので、Conceptだけ押さえておきましょう。
DuoのConceptは「2Ways」です。このキーワードだけ押さえておけば、今回のnoteではOKです。簡単に説明すると、RBがLBをReadして予め決められた2Waysの最適な方を選択するプレーだということです。詳細はまた今度お話しするのでお楽しみに。
さいごに
原理原則から理解できると深みが出る
いかがでしたでしょうか。今回はSchemeについて説明してきました。今回説明してきた内容は原理原則の話ですが、ぶっちゃけ知らなくても丸暗記さえすれば実際にプレーすることはできます。しかし、今回の内容のように原理原則を理解するとフットボールの深みが出ます。また、原理原則が分かっていると「このプレーはこういうことがしたい。だから相手がこういう隊形をしてきてもこのようにBlocking Assignmentを組めば狙いは果たせるはずや。」という考えができるようになります。それこそがFootball IQだと思います。そもそもそういうところも理解しているとアメリカンフットボールがさらに面白くなりますよね。
ただ絵に描かれたプレーを覚えるのではなく、原理原則から理解する癖をつけて行くと自ずと自分たちのチームで達成したいことが見えてくるはずです。ぜひ、丸暗記から脱却して考えるフットボールをしてもらえれば私としてはとても嬉しいです。
世界一分かりやすい
今回のタイトル通り、世界一分かりやすいSchemeの説明であったと自分の中では思っていますが、それでも疑問点は必ず出てくると思います。以下の連絡先にご連絡いただければ、質疑応答しますので、遠慮なく何でも聞いてください。次回はZone Schemeの具体的なプレーについて書く予定です。文字数に余裕があればGap Schemeの具体的なプレーについても書ければいいなと思っています。
私に書いて欲しい内容があれば遠慮なくお申し付けください。
それではまた次回のnoteでお会いしましょう。
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