生かされたい!蚕

蚕は繭から出たら、人間の手がないと死んでしまうんだって。繭から生糸を取るために品種改良を重ねて、飛ぶことも出来ないし、エサも人があげないと食べられないんだって。

あの人が言っていたことを思い出している。インテリアは2人分、居住者は1人のこの部屋で、思い出している。
あの人が出ていってから、もう何日も外に出ていない。部屋から出たら、もう本当に死んでしまう気がするから。


というような気持ちを味わいたいな〜、と蚕のことを知ってからずっと何年も考えている。
自分と蚕を重ねて、切ない気持ちになって絶望したい。恋人にその人とずっと一緒にいられるように改造されて、もうその人なしでは生きていけない状態にされて、振られて、部屋に篭城して一生外に出ないと誓いたい。外に出たら、それこそ強く、振られた恋人の存在を感じてきっと死んでしまうから、2人の部屋に篭っていれば、私の繭に篭っていれば、思い出をなぞって生きていけるし、戻ってくるかもしれないし、、とかありもしないことを考えてさらに絶望して閉じこもりたい。

というか、生かされたい。蚕のような振られ方ではなくて、蚕のような恋愛をしたい。
本当にその人がいなきゃ生きていけなくなりたい。精神的な意味じゃなくて、肉体的にそうなりたい。ご飯も食べさせて欲しいし、移動だって出来ないから閉じ込めて欲しい。


でも最終的にはやっぱり振られたい。繭の中で絶望したい。

でも実際こんな事あったら耐えられないので妄想に留めておきます。


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