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火星人は究極の悪だった!ティム・バートンの名作SF映画「マーズ・アタック」をレビュー

宇宙人の地球侵略映画と言えば色々あるが、その中でも一番怖いものといえば皆さん何を思い浮かべるだろう。

インデペンデンスデイ?アレは壮大なスケールの映画だったか、ちょっと真面目過ぎる。

遊星からの物体X?まあ、アレは怖いんだけど何というか身近なコワさがしない。

キングギドラ?首が三つあるだけの無能じゃんあいつ

というわけで…僕が選ぶも~ッとも怖い地球侵略SF映画とはなんだろうか。

やはりこれは「マーズ・アタック」になるのではないだろうか。

1989年にバットマンを大ヒットさせてヒットメイカーになったティム・バートンと豪華キャスト(ジャックニコルソンとグレン・クローズですよ!)によるSF映画ということで当時はかなーり話題になった。

だが、しかし…この題材は実は1960年代に大流行りした悪趣味カードゲームが題材だったのだ。

ということは…バートンの悪乗り趣味がさく裂したブラックコメディになっているのだ。

批評家はドン引き、一般層もドン引き、映画は大コケしてしまいましたが…それでも俺は大好きな一本である。

なんだったらこれはティム・バートンの最高傑作といってもおかしくはない。

本作のあらすじは非常にシンプルだ。

宇宙から突然火星人がやってきた。
火星人を平和的に迎え入れようとした宇宙人だったが、宇宙人にはそんな気はなかった。
かくして宇宙人と地球人の戦いが起きるのだった!

というのが本作のないようである?

どうですか?皆さんシンプルでしょ?

じゃあなぜ僕がこの映画の火星人たちがありとあらゆる侵略SFの中で一番怖いのか…。

こいつら、ぶっちゃけ遊びで地球を侵略しているからです。


ゲラゲラ笑いながら地球人を虐殺していく。

さらに思いつきで人体実験を行い、地球人と犬のハイブリッドを産みだしたりする。

おまけに趣味は地球のテレビをみることで、ゴジラvsビオランテが流れていたりする。

そう、こいつらは宇宙人だがたちの悪いガキそのものなのだ!!!



遊びで地球を侵略しに来てる、やべー連中


どうですか?こんな連中に侵略されるなんてまっぴらごめんでしょ?


恐らくティム・バートンはこの宇宙人たちにどこか幼児的なユーモアを感じているのだろう。

だが、そのユーモアはかなり凶悪だ。

思い返せば、ティム・バートンの1989年版バットマンに出てくるジョーカーもこんな感じだった。


大した意味はない、メリットなんかない。

悪事を楽しみたいから行う、それだけだ。

そして徹底的にそれを楽しむ。

そもそも文明は劣っているし、その気になれば侵略することなんて朝飯前だ。

こんな宇宙人は現実にいない、といえるだろうか。

今現在、ロシアーウクライナ間で戦争が起きているが、殺人行為を楽しんでいる物ももしかしたらいるのではないか。

この宇宙人はある意味では人間の持つ究極の悪のデフォルメだ。

暴力を持ち、それを使う側であるならどんな残酷なことでもできる究極の悪のアイコンなのだ。

ただふざけた映画かもしれないが、なんというか人間の持つ本物の悪とは何かを少し思わせるところがあるのではないだろうか。

あと、宇宙人だけではなく、妙に事務的が無能な政治家…ポジティブに物事をとらえる民衆、など妙にリアルな人間模様も不気味なリアルさがある。


現実は「インデペンデンス・デイ」のように勇猛果敢な大統領がいるわけでもなく「シンゴジラ」のような有能な政治家がいるわけでもない、こういう無能な人間たちがお互いに足を引っ張り合い最悪の事態に突入していくのではないだろうか。

と、考えると少し笑えない映画である。

ちなみに映画は究極的に面白いSFコメディ映画なので世界中の全ての人々にオススメだ。




こう深読みすると、このダニー・エルフマンのテーマもただ大袈裟なだけではない本当に恐ろしい曲に聞こえてくる。





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