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スピルバーグの怪獣愛が炸裂した最高傑作「ロストワールド/ジュラシックパーク」について

いやー今年の夏はクソ暑い。

こんな蒸し暑い季節はビール?コーラ?はたまたバーベキューなんて人もいるんじゃないだろうか。

だが、個人的に夏というと思い出すのは…金曜ロードショーで毎年のように放映されていた「ロストワールド/ジュラシックパーク」であったりする。

色々あった本シリーズだが、ぶっちゃけ本作こそがシリーズ最高傑作だったのではないかと個人的には考えている。

それどころか、スピルバーグ作品でも最高傑作の部類に入るのではないだろうか。


本作の概要・解説

ひょっこりひょうたん島みたいに出てくるティラノサウルスさん


そんな本作だが、ストーリーについては語るまでもないのだが一応語っておくと、1993年に製作公開された「ジュラシックパーク」での騒動の後、インジェン社を追われたジョン・ハモンドからの依頼で、マルコム博士がサイトBと言われる島へと恐竜たちの様子をみにいくことになる。

このサイトBというのは、いわゆる前作の騒動がおきたイスラヌブラルの予備として生み出された島で、長い間放置されてきたらしいのだ。

ジョン・ハモンドは続く経営者としてはダメダメだったようだ。

そんな脇の甘いハモンドは、なんと甥っ子のピーターに会社の経営権を奪われてしまい、ピーターはこのサイトBにいる恐竜を捕獲して、ジュラシックパークを再建しようともくろんでいるのだ。

と、こんな感じのストーリーだが、本作はストーリーなど期待するだけ無駄である。

褒めてないだろだって、まさか!!

本作はそもそも恐竜映画だ、どれだけ凝った人間描写をやっていても恐竜が怖くてカッコよくなければダメなのだ。

その点、本作は恐竜が映画中でまくりなのだ。

徹頭徹尾、恐竜がわんさかわんさかと出てきてアホな人間どもを食いまくるこの娯楽に徹した作りこそ、本作の最大の持ち味といっていいだろう。

ちなみに本作の結末は最終的にアメリカ本土に放たれたティラノサウルスによる大虐殺・大破壊というオチである。

観客へのアピールに余念のないスピルバーグらしいオチで個人的には大大大満足である。



スピルバーグの溢れる怪獣映画への愛・オマージュ


やはり恐竜を出すなら街で暴れさせないと…というスピルバーグ大御大からのありがたいお言葉


では、そんな本作であるが…見どころはそれだけではない。

恐竜怪獣映画マニアなら勃起射精間違いなしの数多くのオマージュシーンで溢れているのだ。

まず本作の最終的な展開はもちろん「ゴジラ」へのオマージュであると言って過言ではないだろう。

なんといっても、日本人の中年男性を出してきて「こんなことがあるから日本を出てきたっていうのに…」とボヤくシーンが登場するのだ。

しかし、これだけではない。

クライマックスで暴れ狂うティラノサウルスは子供を攫われてしまい、追い求めるように暴れているという背景があるのだが。

この子供を悪人にさらわれて街を破壊しながら追い求めるという設定は1961年に製作された「怪獣ゴルゴ」へのオマージュだろう。

さらに過去作へのオマージュは、恐竜が出てくるところだけではない。

本作に登場する人気の高い恐竜ハンターのローランド・テンボをご存知だろうか。

みんなのあこがれ

ローランドは主人公のマルコム博士と対立するハモンドの甥っ子であるピーターに雇われたハンターであるが、対立構図にあるはずのマルコム一行に嫌がらせを受けても普通に助けたり、削除シーンでは白人観光客に絡まれる黒人女性を助けるために喧嘩をする中々のナイスガイであったりする。

ローランドは数々の猛獣を倒してきた名うてのハンターで、地上最強の捕食者であったティラノサウルスを殺すために激しく執着をしている。

最終的にはライフル銃一つでティラノサウルスを捕まえてみせるのだからお見事である。

このローランドのモデルは恐らく、日本の特撮関係者が製作された恐竜映画「極底探険船ポーラーボーラ」に登場するマステンだといっていいだろう。


しかし、そこは流石スピルバーグ。

似ていてもトレースまではしないのだ。

恐竜を狩ることに成功したものの、仲間を多く失ったことで意気消沈し姿を消したローランドと、仲間を失っても恐竜に狩る事に執着し現代社会を捨てたマステンでは大きな差がある。

これもただただトレースするだけではなく、一種の合わせ鏡として機能させることでただのオマージュで終わらせてはいないのだ。

流石はスピルバーグである。


まとめ


いかがであっただろうか。

このようにみれば本作も少し観方が変わっていくのではないだろうか。

改めて、「ロストワールド/ジュラシックパーク」を見直してみてはいかがでしょうか。





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