豪華キャストで作られた割には何とも地味な映画であった「ロズウェル」
時は1995年、日本では「新世紀エヴァンゲリオン」、アメリカでは「スポーン」がブームになりプロレス界ではnWoが世界中を席巻するなど何か異様な雰囲気が世界中に流れていた。
そう、時は世紀末だったのである(死語)。
そんな中、製作されたのが本作だ。
主演は「ヒドゥン」のカイル・マクミラン、そして共演はマーティン・シーンと聞いて題材が「ロズウェル事件」なのだから期待しないほうがおかしいだろう。
しかし、そんな本作であるがまあクソ地味である。
実話をベースにしているのはわかるが、ここまで地味な映画だと流石に製作する意味があったのだろうかと疑問に感じざる負えない。
わかりやすく言うと主人公は1940年代にロズウェル事件に巻き込まれた青年士官が、中年になり「あれどういう事件だったんだろ」と捜査を始めていくうちに陰謀に巻き込まれて行く…という題材なのだが、恐ろしく何も起きないのだ。
普通のサスペンス映画だったら政府のエージェントが恐喝したり隠ぺい工作をしたり、あるいは宇宙人がいきなり主人公の関係者を次々に殺していく…という内容になるはずだが本作は実際にいた人物の話をベースにしているので恐ろしく淡々と進んでいく。
最終的にマーティン・シーン扮する軍の高官がでてきて「もう、ロズウェル事件なんてなにもなかったんだ、いいね」といって終わりである。
うーん…何とも言い難い出来だ。
だが、こんな本作であるがいい部分がかなりあったりする。
作中中盤で宇宙人の解剖実験に主人公が立ち会う場面があるが、これがなんともいえないグロさとリアリティを出している。
恐らくは本作の主人公の元ネタになった人物は本当にエイリアンをみていたのだろう。
この映画のだいぶ後だが、宇宙人解剖フィルムというのが世間を騒がせたと聞いている。
恐らくそのフェイク映像を作った連中は本作の解剖シーンにかなりの影響を受けているのではないだろうか。
となると…本作はかなりリアルな部類に入るのではないだろうか。
よくよく考えればこの何も起きない地味な感じは、主人公のモデルとなった人物の現実のままならない人生をそのまんま映像化しているのだと考えれば合点がいく。
恐らくロズウェル事件についてだが、「あったのだ」と思う。
そして、その事件は多くの人間の人生に影響を与えたもののその多くが大したことのない退屈な人生に講じて死んでいったのだ。
人は「特務機関」だとか「秘密組織」ときくとメン・イン・ブラックやエヴァのネルフやゼーレのようなものをイメージするのかもしれないが、現実はとてつもないほどに退屈で平坦そのものなのだ。
そんな本作だが、VHSオンリーであってDVD/BD化もされていないようだ。
まあ、残念ながら当然だろう。
全体的に退屈な映画なのだから。
時に、安倍首相殺害で大いに騒がられている世間では、某宗教組織や反安倍派あるいは改憲派・中国政府などの陰謀が時たまみられるが現実的にはそんなことはないのではないだろうか。
仮に秘密組織あるいはその陰謀に巻き込まれるなどがあったとしても、このように退屈に終わってしまうこともあるのではないだろうか。
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