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【100の職種プロジェクト】第7回 脊髄小脳変性症×市役所職員 地方で就職するということ

100の職種プロジェクトは、さまざまな障害や特性を持つ人たちが、どんな職種や業種でどのように働いているのかインタビューし、障害種別・特性と職種・業種をかけ合わせた100通りの働き方を発掘する試みです。さまざまな障害や特性を活かせる、多様な選択肢のある社会を実現すべく、Collableのインターン生が取材を行っています!

今回は、新潟県の市役所に勤めている修平さん(仮名)にお話をお伺いしました。

————まずは修平さんの障害とお仕事について、簡単にお聞かせいただけますか。

私には脊髄小脳変性症という難病があります。それに起因する体幹障害もあるので、身体障害の3級を持っています。
地元の市役所で障害者雇用の形で採用されて、職員として働いています。市役所の障害者雇用にはフルタイムで働く正規の職員と、会計年度任用職員という2つのパターンがあるんですが、私は後者になります。会計年度任用職員は、少し前までは臨時職員、非常勤職員という風に呼ばれていたものですね。市役所の職員が足りていない時に、補助として1年の契約で任用される非常勤の職員です。

————具体的な業務内容を教えてください。

データの入力が主な仕事です。今は農業に関係する部署にいるので、他部署や県庁、国(農林水産省など)に報告するための書類を作っています。他にも電話対応や窓口の誘導などがあります。私の場合は神経の病気があって発話がスムーズではないので、電話対応は控えさせてもらっているんですが、混みあってきたらお客様の誘導をしています。あとは、掃除などの雑用もしますね。

————このお仕事を選んだ理由をお聞かせください。

新潟で障害者雇用を目指して就職活動をすると、どうしても仕事が限られてきます。東京では障害者向けの就活イベントも頻繁に行われていると思いますが、こちらだと大卒の障害者雇用ではあまり選択肢がなかったんです。その中で比較的安定したお給料をもらえ、公務員というステータスも得られるということでこの仕事を選びました。

————このお仕事で、ご自身の障害特性に合っていると思う部分はありますか。

フルタイムとは違い、自分で時間帯を決めて働くことができるのがいいところだと思います。業務時間が週に合計30時間になれば、業務の開始を朝遅くにしたり、早めに帰ったりできるので、体調管理もしやすいです。市役所とか県庁には保健室が設置されている所もあって、看護師さんや保健師さんがいますから、体調が変わったときにすぐ対応してもらえるのもとてもありがたいです。

————不満を感じる部分はありますか。

やはりお給料の安さが気になります。市町村とか県庁によるんですが、私の場合は時給換算で1000円くらいです。あと、仕事の内容にやりがいを感じられないです。先ほど言ったデータ入力の仕事は、紙の資料のデータをパソコンで打ち込む単純作業がほとんどなので、やりがいは全くありません。また、職員の平均年齢が高いので、若い世代の人ほど職場で同世代の人を見つけるのが難しくなってしまうと思います。

———— 最後に、この記事を読んでいる学生にアドバイスや伝えたいことがあれば教えてください。

普通の回答になっちゃうんですけど、アルバイトやボランティアをして人と接する経験を積むに越したことはないと思います。ちゃんと正しい言葉遣いで接客できることにもつながります。あと、私が社会人になる前にやっておけばいいかなと思ったことは、歯医者さんとか、病院での治療ですね。仕事を始めると、なかなか病院に行く時間もとりづらくなってしまうので。ある程度時間がある大学生のうちに、治しておきたいところがあったら治しておくといいと思います。
また、地方によって障害に対する考え方に差があるということは知っていてほしいです。地方の娯楽はテレビが主体なので、「障害者」というと、24時間テレビに出演するような知的障害を持つ特別支援学校の生徒や、車いすの人だというステレオタイプを都会以上に多くの人が持っていると思います。
障害者雇用の状況や給料も地域によって異なりますから、そういったことを念頭に置いて仕事を見つけてほしいです。


学生へのアドバイスを毎回インタビューの最後にお願いしているのですが、「病院に行っておく」というまさかの回答が飛び出し、場が少しどよめいていました(笑)私も病院に行くのを先延ばしにしてしまうことが多いので、気を付けようと思います。インタビューにご協力いただきありがとうございました!

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この記事を書いた人✍️

記事執筆者のプロフィール。かのん。高度難聴の大学生。趣味は映画鑑賞で、特にインド映画が好きです。

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