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まとめるほどでもないまとめ ~面白い言葉編~



・「|」という漢字

教え子が使っている漢字学習用の冊子のコラムで、「|」という漢字が紹介されていた。

2種類の意味が載っていたのだが、それが何かご存じだろうか?


なんと、上から下に書くと「退く」、下から上に書くと「進む」という意味になるらしい。

書く方向によって意味が変わるだけでなく、下から上に書くのはこの漢字しか存在しないとのこと。

「らしい」と言っているのは、手元の『新漢語林 第二版』(大修館書店)には載っていないからだ。

そのため、読み方は存在するかどうかも含めて分からない。

文字変換の候補でも出てこない常用外の漢字なので、この記事では縦棒の記号「|」で代用して書いている。

ネットで調べても詳しい情報は見当たらない。漢字学習用の冊子に載せるくらいだから、何かしらの典拠はあるのだろうが。

相当古い時代に使われていたのか、それとも用例が極端に少ないのか分からないが、どちらにせよ面白い内容であった。


・「心細い」の反対は?

教え子が対義語の勉強をしている時、「なんで『心細い』の反対って『心太い』じゃないの?」と聞いてきた。

言われてみれば確かにそうである。

なぜ「心細い」の対義語が「心強い」であるのか?

また、「心が弱い」とは言うのものの、「心弱い」という言い方もしない。

こんなことを言いだしたら、

・面の皮が薄い(⇔厚い)
・前髪(⇔後ろ髪)を引かれる思い

なんて言い方もしないよね、とキリがないのだが、子どもの素朴な疑問に興味をそそられた瞬間であった。

ちなみにネットで「なぜ『心細い』の反対が『心強い』なのか」を調べてみても、納得のいく答えは得られなかった。

神経が図太いとは言うが、恐らく昔の人にとっては心を「太い」と表現する感覚がなかっただけなのだろうと思われる。


・カンチャンヒット

野球で内野手と外野手の間に落ちるヒット、いわゆるポテンヒットのことを「カンチャンヒット」と呼ぶことがある。

私はつい最近になって麻雀を覚えたのだが、この「カンチャン(嵌張)」は麻雀用語から来ていることが分かった。

麻雀では1~9の数字がついた牌を3つ「3・4・5」のように連続して集められれば1つのセットが完成するのだが、その間の数、例えば手元に「3」と「5」があって「4」が来るのを待っている状態を「カンチャン待ち」という。

故・星野仙一氏が阪神タイガースの監督を務めていた時代、デイリースポーツの談話にちょくちょくこの「カンチャン」という言葉が入っていて、何でこんな言い方をするのか当時からずっと疑問であった。

約20年の時を経てようやくその謎が解決し、非常にスッキリした。

他にも麻雀用語から日常語として広まった例としては、「テンパる」・「メンツ(面子)」・「連チャン」などがある。

「テンパる」などはてっきり英語の "temper"(気性)が由来だと思っていたので、面白い発見であった。


このように詳しく解説したり考察したりするほどではないものの、日常で面白いと感じるちょっとした気づきはたくさんあるので、機会があればまた紹介したい。

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