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イサム・ノグチ - 発見の道

東京都美術館で開催中の展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」を見てきました。

美術以外にも家具や公園遊具などのプロダクトデザイン、舞台美術から公共施設などの建築デザインまで、さまざまな方面で功績がある人ですが、自分が最初に作品に触れたのは横浜こどもの国の遊具でした。

幼児期の家族サービスから学生時代のイベントまで、横浜市民はなにかとお世話になるこどもの国。そこはかとなく古くて地味な遊具があるのは覚えてたんですが、イサム・ノグチの作品だったとは…と気づいたのはだいぶ大人になってから。一度ちゃんと見ておきたかったところに、今回の展覧会の開催です。

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この特別展では彫刻作品を中心に、ひかりの彫刻と言われる提灯作品、「あかり」シリーズを大量に使ったインスタレーションを展示照明に使う、粋な展示構成でした。展示室は3フロアでフロア毎にテーマが設定されています。

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1Fは石や金属の彫刻を中心とした構成。いわゆる抽象彫刻ですが、表面の質感や角が柔らかくて親しみの持てる彫刻が多いです。題意に沿ったものや凝った作りのものも多かったですが、全体的に素朴で無邪気な印象が強かった。

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面ごとに違う処理を施して質感を変えた石の作品、ちょっと奥行きの錯視っぽくて面白かった。

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2Fは「かろみ」の彫刻作品群。「かろみ」とはイサム・ノグチが日本文化の中から見出した「軽さ」を表現したものです。鉄板を折ったり曲げたり切り込みを入れて繋いだり、折り紙や木工を鉄板でやってる感じです。彫刻もそうですが、どれも西洋美術とも日本美術とも取れて、そのどちらともつかないルーツの不確かさが魅力に感じました。ハーフで出自が複雑なんですよね、この方…。

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切込みから落ちる影なんかも、なかなか素敵です。

3Fだけは撮影不可で写真がないんですが(そもそも1F、2Fが撮れたのがありがたすぎる…)、晩年期の石の彫刻作品がメインの展示でした。高松に構えていたアトリエがいまイサム・ノグチ庭園美術館になってますが、そこに普段屋外展示されている作品がそのまま持ち込まれています。

この頃の作品はかなり自然回帰志向が出ていて、自然の美と作為の美術が渾然一体となった作品が多いです。なんかもう完全に石とお話しちゃってます。庭園美術館の映像もプロジェクター出しで大きく見れるんですが、とても良い風情で、行ってみたくなりました。

どれも囲いやケースに入ってないむき出しの作品を、至近距離で全方向から鑑賞出来るので、とても見応えがあります。回遊式で密になりづらく、順路なく自由に見て歩けるので、比較的短時間で充実した鑑賞ができました。

展覧会で最後ミュージアムショップに寄ると大体何かしら買うんですが、抽象彫刻は展覧会グッズと絶望的に相性が悪いですね…珍しく買いたくなるものがなにもなかった…

代わりに上野に行くとつい寄ってしまう甘味処の名店「みはし」。暑かったんでかき氷を。

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