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プロローグ:オープンを迎えた日のこと(マンション共用施設の用途変更①)

本記載内容は、私の個人的見解であり、私に関係しているマンション管理組合・勤務先等のその他所属する一切の団体の意見・方針を示すものではありません。

プロローグ:オープンを迎えた日のこと

冬の本格的な到来を告げるような冷たい空気の朝。
とあるマンションの1階に、1軒のコンビニがオープンしました。

このコンビニが出来た区画には、竣工当初には居住者専用の託児所がありました。
しかし、しばらくして事業者が撤退。
その後キッズルームとして開放していたものの、古くなった遊具しかない空間は子供・乳幼児の親御さんのどちらにとっても魅力的なものではなく、多くの時間で閑散とし事実上の遊休化。
その区画に対して、店舗用の設備工事、集客を目的とした外部出入口の新設工事、そしてマンション側のセキュリティ新設工事を行って誕生したのがこのお店でした。

「ようやく、ここまで漕ぎつけられた…」

ここに至るまでの出来事が一気に頭の中を駆け巡り、この事業の発案者・推進者である私は思わず目頭を熱くしたのでした。

・今の収支構造と管理サービスでは来年度一般会計の予算編成ができないと確信した日のこと。
雑巾は既に絞り切った後で、結果として大幅な管理費徴収額見直しを総会にて提案した日のこと。
・その見直しでも「維持」が精いっぱいで「グレードアップ」の余力はなく、財務構造の変革に取り組まなければならないことを示した日のこと。
・その一環として今回の構想を示しつつも、実はその時点では実現方法の算段が立たないまま裏では奔走していた日のこと。
・複数の事業者から、「用途変更かつ組合発案って…実現性乏しいでしょ…」と本気にされなかったのを必死に口説いた日のこと。
・総会資料も交渉もまとまらず「来期検討に回したい」と白旗を掲げたときに、臨時理事会の実施という時間の猶予を与えられて、総会上程まで持ち込んだ日のこと。
匿名掲示板・匿名のお手紙によるバッシングを受け、「もうこんなマンション、出て行ってやる…」と家族に愚痴った日のこと。
・総会承認を得たものの、そこから交渉が再度難航して「このままでは交渉を継続できない」と事業者に告げられ、何とか継続に向けた働きかけを行った日のこと。
・そして、年内開店を望む声に押されつつも「もう間に合いません」と告げられたあの日のこと。

こうして振り返ると、何か一つでもボタンを掛け違えていたらオープンが遅れるどころか、この構想自体いつ頓挫していてもおかしくなかったのです…。
(本当にギリギリの綱を渡ってきたのです…)

はじめに(補足)

というわけで、今回から数回にかけて「マンション共用施設の用途変更」をテーマにnoteを書きます。
これは、以下の通り情報の希少性と記憶の鮮度を鑑みた上で、他のテーマよりも優先して備忘録を残したいと思ったためです。

・共用施設の用途変更は事例として多くないこと。
・ましてや居住者専用(福利厚生)から店舗化(収益事業)を目的とした先行事例は皆無であること。
・既に事業は完遂しており、自身の立場において直接の利害関係がなくなったこと。
・(契約等の守秘義務は伏せますが)自身の体験であれば備忘録を残せる状況に至ったこと。
・全ての経緯を把握しているのは恐らく自身しかおらず、私の記憶が薄れると残らないであろうこと。

なお、この事例は恐らく再現性が全くないことからそのまま参考にすることは困難だと思いますし、私自身の当時の感情も記していければと考えておりますので、見ていて不快に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、成功だけではなく失敗談を残したり、自分の意思くらいは示したりしても表現の自由として容認されるだろうとは思っておりますので、ご容赦頂ければなと思っております。
また、その上で少しでも参考になる部分があれば執筆者として嬉しく思います。

その②を公開しました!


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