足音
まだ昨日の波にぬれた浜の 波打ち際を
砂利を踏んで歩く だれかの捨てた
バーベキューの炭だの花火の燃えかすだの
昨日の宴の残り火が くすぶってる
まだ暗い時間から釣りをしてる人たちが
目をこすりながら水面を見つめている
僕は立ち入り禁止の柵をこえて
防波堤を下り 誰もいない砂浜を歩く
寄せては返す波の音に いなくなった人の声
最近見ないあいつは入院してたらしい
ひとり またひとり 浜辺に来ては去っていく
釣り人に自転車 散歩する老人たち
僕もそのひとり ただのひとり
来ては去っていく ただひとり
それでいいんだよと 知ったふうに言って
いつの間にか消えた君の 足音を波に聞く
〇 〇 〇 〇 〇