quarantine
いつになく人の少ない町で
いつものように出かける
お店も学校も閉まっている
まるで作り物になってしまった町は
枯れかけた水路のように
死んではいないだけの脈を打つ
学校の脇の桜並木は花曇りの下
見る人もないままに早くも散り始めてる
降るでもなく降らないでもない
いい加減な曇り空が今日も
くだらない映画の無意味なカットみたく
誰も求めてやしないのに我が物顔してる
町を歩くのにもいちいち人との距離を
気にしなけりゃならないなんて
誰が見ていようがいまいが花は咲き
素知らぬ顔で散っていく
いつか僕もここからいなくなる
そのときは 挨拶もなしにただ消える
桜の枝の間を跳びまわる鳥が
笑うみたいに羽ばたいて 花を散らす
そういうふうなのがいいなと呟いて
遠くなった春の 君の横顔を思う
〇 〇 〇 〇 〇