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待ってる

降るような降らないような あいまいな空の下
港湾地区の立ち入り禁止の金網の向こうに

見える水平線は 知らない船をのせて
どっちつかずの顔をしてる

夏とも春ともつかない生ぬるい風は
ビールを飲みたいというほどじゃない

さよならもなしに 何となくいなくなった
あいつやそいつは元気かな

なんてことも もうあんまり考えなくなった
あんまり離れてしまった時間はもう

どこか遠い国のまぼろしの世界に
うつつを抜かしてうたた寝してる身分じゃない

今は待ってる 吹きさらしの港の端で
ただ重みに耐えながら 船が出るのを

錆びた顔で 誰も知らない中身を詰めたまま
国境を越え 見たことのない国へ


 〇  〇  〇  〇  〇