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『狼の口 wolfsmund』フランス語版を再翻訳9 嘘発見代官編

こんにちは。はやいもので7月ももう終わりますね。今年ももう後半戦と思うとかなり焦りがでてきます。明日から8月とは恐ろしい…
今回は1巻2話からいこうと思います。通行証を偽装したヨハンナが関所の通過を試みるも、バレてしまい捕まったシーンから。原文→仏語訳→拙訳の順です。

ああそうそう私にも ひとつ白状することが 本物の通行証には針の穴って話ですけど 嘘です ごめんなさい
Car oui… Je dois quand même vous avouer…que cette histoire de trou dans le document… Ce n’était que une invention! Vous ne m’en voulez pas trop?
というのも、やはり私の方にもあなたに白状することがありまして。通行証の穴というのは作り話です。でっち上げでしかありません!あまり恨まないでくださいね?

この辺りは割と原文に近めの訳。最後のあんまり恨まないでね?のへんが好きです。

密行者ってねわかるんです 私には 勘…みたいなものですかね だからちょっとカマかけてみました
Allez savoir pourquoi…quand on essaie…de se payer ma tête, je le sens! J’ai voulu vous tester et, une fois encore, mon instinct ne m’a visiblement pas trompé!
知っておいてくださいね、人が私を馬鹿にして騙そうとしてくる時私にはそれがわかるのです!試したくなりまして。もう一度言いますが、私の直感が間違ったことは明らかにありません!

原文と比べて自分の能力(他人の嘘を見抜ける)をより強調してる感があります。se payer la têteで馬鹿にする、嘲笑するといった意味になり、ここでは関所の代官を馬鹿にする=騙して関所を逃げおおせるという意味になるためこのような訳としました。最後の文でさらに自分の勘の正確さをアピールしています。実際ここでもわかっちゃったわけだしね…

私は明日公弟閣下の御機嫌伺いに出かけねばなりません お話の続きは戻ってからにしましょうね
J’aurais adoré pouvoir m’entretenir plus amplement avec vous, mais ça devra attendre mon retour… Je dois partir demain pour jurer une seconde fois allégeance au duc!
あなたともっとゆっくりお話をしたかったのですが、それは私がここに戻るまで待たねばなりません。私は公弟閣下にもう一度忠誠を誓うために出かけなければなりませんので

j’aurais adoré〜のくだりは条件法過去で、ここでは事実に反する仮定の意味でとりましたが推測の意味でもとれそう。adorerが「〜を大好きである」なので、事実に反する仮定でとって直訳だと「あなたと話せることが大好きになったでしょうが=あなたと話せたら大変楽しかったでしょうが」あたりかな?この辺りは自信ないです。最後の文で「御機嫌伺い」を「忠誠を誓いに行く」と訳してるところがなんか好きです。ところどころ言い回しがシャレオツになりますね。

今回はここまで。誤訳や間違いなどありましたらどんどんご指摘お願いします。
ここまで読んでくださりありがとうございました。それでは次回!

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