映画:滝を見に行く
山歩きをライフワークにしています。
僕にとって、どの山に行くかよりも、誰と一緒に登るかが気になる。
何故なら、僕自身が極度の人見知りで、特に初対面だとその人との距離のはかり方に気が取られて山を降りると疲れるから。
例えば、その初対面の登山同行者が登頂目前で「自分が高所恐怖症だと」大騒ぎされたり、草むらからの物音に勘違いで「熊が出たと」騒がれたり、静寂の林道でオチがない割に「大声だけのすべる話」に付き合わされたり。
兎に角、初対面同士の山登りは心理的な周波数を合わせることに気を使う。
それは、単に僕が陰キャラで、多分にコロナ禍以前の随分前からの「ソーシャル・ディスタンシング」の支持者だったからだと思う。
しかし、チャーミングでいつでもウェルカムな「三密登山家」にも憧れる。
山岳パーティーのメンバー同士で、初めは反目し合い、事件が起こって、擦った揉んだ繰り返し、山を降りる頃には家族のような絆で結ばれるみたいな映画のストーリーが好き。
それとは少し違うが、そこはかとない「人との距離のはかり方モンダイ」を捉えた山の映画『滝を見に行く(2014年、監督・脚本:沖田修一)』が好きです。
作品ついて、少し書きます。
頼りなく、心もとない私の解説ですが、是非に「滝を見に行く」をお薦めします。
舞台は新潟。初対面同士の40代から70代の女性7人が、それぞれ訳あって山歩きガイドツアーに参加する。目的は地図にも載っていない「幻の大滝」を見に行く。しかし、歩いても歩いても到着しない。
遭難したのかもしれない。
しかし、癖が強い7人のおば様はマイペースだ。
日が沈み始め、疲れ果てながら、それぞれが自分自身の事をみなの前で語り始める。
「人生のどこで横道に逸れたのか?」、それぞれの迷い道に共感し合う。
最年長のおばさまが放つ「女は40を超えるとみな同級生になる」のセリフに撃ち抜かれる。
やっぱり、女性は美しい。
柔らかで静かな山の映画です。
是非にご覧ください。
夜の支配者にたたき起こされる前に、布団に潜り込んで、寝たふりです。
おやすみなさい。 また来週です。
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