商品性について考える

えらプロサロン入れなかったサロンの会話で、自分の中で感嘆としたものがあったので文章に残しておきます。登場人物の発言は私の独断で若干編集したり、主な登場人物以外は、複数人いらっしゃいますが全てサロン生という名称にさせていただきました。あしからずご了承ください。

主な登場人物

うさみさき さん(以下:うさみ):デザイナー、イラストレーター、名古屋の秋葉原こと大須にコワーキングスペースを運営している。
伊予柑 さん (以下:伊予柑):古くはニコ生やUstreamが流行した時代から人気のライブ配信の古株的存在。マルチメディアクリエイター。

※以下罫線内の文はガーリック砲の感想や会話の流れの説明文となります。

会話は伊予柑さんの商品のプロモーションは
・商品性
・お客さん
・導線
という3つで考えると良いという発言からはじまった。
ここでもうタイトルにある商品性というものがでてくる。
聞いたことあります?そんな言葉。商品の性質?うーんなんだろうとなっている自分がいました。


伊予柑:「香料の入った甘酸っぱい黒い炭酸水」であるコーラの商品性は「スカッとさわやか」です。お客さんはその商品性が欲しい人、導線はお客さんと商品を繋げる露出や販路のことです、自分の商品の商品性を3つ考えて、それぞれに欲しいお客さんを3種類出してみて、そのお客さんに届ける方法を3つずつ考えると27施策でてくるので、その中で効果が上がりそうなものを選んでやると無難。

【ポカリスエットの商品性とは?】
・風邪の時に栄養補給できる
・熱中症になりそうなときに水分補給できる
・運動の後に汗を補う

【風邪の時に栄養補給」したいお客さんはだれか?】
・風邪の子供を抱えたママ
・風邪でも通勤したいサラリーマン
・風邪をひきやすくなった高齢者

【風邪の子供を抱えたママに届ける導線は?】
・小児科のそばに自販機を置かせてもらう
・医師のお墨付きを得て助産師にチラシを配る
・幼稚園でサンプリングする
こんなかんじ

洗い出してから費用と効果を書き出しとだいぶまとまる。その中で優先順位が高いのだけやる。

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もうこの時点で凄すぎる・・特定の要素・ジャンルの組み合わせをしていけば、いくつもやり方はあるというのはわかるけど、誰もが知っている商品で例を出しちゃうんだもん。アイデア出しの整理や方法って、川喜田二郎法とかいろいろあるけど、あんまり使ったことないや。

ここで、大須クリエイトスペースの運営に悩んでいた、うさみさき さんが伊予柑さんへ質問を投げた。(補足・・大須クリエイトスペース:格安で利用できる、作業スペース。併設で大須フリースペースがあり、どちらも500円で最大8時間もいられる。ボードゲーム、お絵かき、プログラミングまで自由にできる場所)
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うさみ:コワーキングスペースに求めるものって何があったりしますか?
うさみ:駅近徒歩4分とかはメリットコピーになりえますかね?
伊予柑:100円で居座れてどこにでもあるマクドナルドとの差が、コワーキングスペースの商品性になる。
伊予柑:(難しいことに「安い」は基本的に商品性にならない。大学生がよく誤解するやつ)
うさみ:電源もWiFiもあるしコート掛けもあるし、ドリンクも200円で飲み放題、清潔感は…ましになったかな。安いで売ってるんですがきついです。
伊予柑:「本当に集中できる3時間です」とかが商品性。
伊予柑:WiFiがある、税理士いますは機能。「フリーランスの友達が毎月3人出来ます」は商品性。
伊予柑:機能と商品性の混同もやりがち

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はい、混同してます。伊予柑さんに言わせると、私の大好きな「安い・うまい・早い」は商品性にならなさそうだ。ここから商品性とやらの正体や、自分の商品を売るために、お客さんにどう伝えていくかのか、そもそも自分が気づいていない自分の商品の良さを探す方法が見えてくる。
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うさみ:クリエイター(絵描き・デザイナー)向けっていうことで、同好の士と出会いやすいというのを売りにしたいんですよね。そのためには人が来ないと意味がない。
伊予柑:いいですね。「毎週、絵の悩みを相談できるオフ会のあるワーキングスペースです」とか商品性。
うさみ:講座とかワークショップも初期費用なしでできますよっていうのはアピールしています。
うさみ:主婦なら平日も来てくれそうですかね? 平日が苦戦してるんですよね。ちょっと趣味でやってみたいとかのライト層向け?
伊予柑:平日のスペースの商品性はなんですかね?
うさみ:!!!
うさみ:平日のスペースの商品性…確かにここを考えずに闇雲にやってもダメですね。。
サロン生:いっそのこと平日の昼間はワンコインにするとか?時間フリーで
うさみ:ランチミーティングみたいなのは企画しようかと思ってたりします
伊予柑:値段は最後です。
伊予柑:絶対に値段から考え始めてはいけない。商品性から考えましょう。
伊予柑:自分の商品の価値(商品性)を考え続けるのが、マーケティングの基礎です。どんな教科書にもかいてある当たり前のことを、つい忘れてしまう。
伊予柑:そして商品性は「顧客の不便を解消する」か「顧客の心をプラスに動かす」ものです。便益か感情のどちらかになります。
伊予柑:ポカリスエットは不便を解消するし、コカコーラは心を動かします。ドラッグストアにおいてあるものは便益が多くて、コンビニは感情が多いです。

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サロン生の何気ないアイデアの検討の余地を与えず、商品性を最優先に考えようと伊予柑節が入った。私はただのサラリーマンだが、お客様から直接お金をいただくようなイベントや企画を考えるときに、価格やサービスに変化をつけることばかり考えてしまいがちだ。

しかし、スーパーより高いコンビニの商品をついつい買ってしまったり、効果もでない健康食品やダイエットグッズを買ってしまった経験はないだろうか? なんとなく買ってしまう。。そこには自分たちの知らなかった、マーケティング戦略が恐ろしいほど考えられていて、私たちの感情を揺さぶっていたのだった。この時点でこの会話はとても面白かった。
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うさみ:顧客の不便さ=家では制作に集中できない、行き詰まった部分を解決したいなどでしょうかね。スペースとしての静かさや整然さ、設備(本)や人の知恵といった部分で解消する。
伊予柑:いいですね。それをどのように解消するのかを詰めていくと良いです。
伊予柑:商品性の一つが「平日昼間に集中したい」だとすると、その顧客がだれかを商圏の範囲内で考えます。具体的な顧客イメージが思い浮かび、ひと声かけたら絶対に金払ってくれるなーーーと思えるまで調べる(考えるより調べる)
うさみ:平日昼間…主婦、サービス業、フリーランス、長期休み期間の学生…?
伊予柑:昼間人口は市役所に聞いたり、商店街歩いたりしたらわかるかも。
商品性考えると、顧客を調べるを、ひたすら交互にやり続けると、見えてきます。導線や価格設定はその二つが見えた最後。
うさみ:商店街が、すぐそばなのでリサーチしてみます。
伊予柑:商店街が近いなら、軽く買い物しながら店員に聞くのがおススメです。彼らは毎日見てるわけだから詳しい。30人に聞けばいろいろわかるはず。
最初は「近所で3時間1000円で仕事に集中できるコワーキングスペースやってるんですけど、お客さんの候補浮かびますかねぇ」とか茄子買いながら聞くくらい。「うちはママさん多いからワカンねぇなー」とか言われて、そーゆーのをひたすらメモって行くとなんとなく掴める。商品性の候補を変えながら話を聞いていく。
うさみ:大須商店街、結構栄えてるはずなのでいろいろ聞けそうです。挑戦してみます!

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こうしてうさみさんの、自分の商品の商品性を探す旅がはじまったのであった。頑張ってください。ペヤングぐらいしか渡せませんが、応援致します。

ここからは、この会話を聞いていたサロン生と伊予柑さんの会話がはじまる。コピーライティングという、一見言葉遊びにしか見えない仕事の奥深さがわかっていく。
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サロン生:良い商品作る能力あっても(自分にはそれもないけど……)マーケティングやプロデュースは別の能力が必要になるから勉強になりますね。
伊予柑:「からあげを美味しく作れる人」と、「唐揚げ弁当を駅弁としてJRにおいてもらえる人」は違うんですよね。
伊予柑:単に職能が違う。コックと、営業は違う。
サロン生:企業にとっても社員って商品なんだと思うんですよね。自分の商品価値を整理して伸ばす部分、改善すべき部分を明確にして優先順位決めて個人的になんかやっていこう。
伊予柑:唐揚げ作るのが上手い職人は日本多いけど、その商品性を表現できる人は少数だなーと思います。もちろん、自分自身も商品性があります。それは婚活でも就活でも使えます。
うさみ:クリエイターも、技能はあるのにそれが活かせてない人多いですね。自分もまだまだですが…
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宣伝会議賞:広告表現のアイデアをキャッチフレーズまたはCM企画という形で応募いただく公募広告賞
https://senden.co/history
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伊予柑
:コピーライターが商品性を見つけるプロなのがわかります。
伊予柑:「人生の半分は無職です。」ゆうちょ銀行とか、よくも貯金とかいうどの会社も同じ商品に商品性見つけるわと思う。この後には、「だから安心安泰の、日本最大の銀行に貯金しておこう」という説明に続くはず。
サロン生:なるほど。すごい腑に落ちた。
サロン生:34回の「蛍光灯の暗い病院は、不安だ。」っての好き。
伊予柑:パナソニックの蛍光灯かー
サロン生:明るくするのが機能で不安を和らげるのが商品性?
伊予柑:「安心」が商品性なのか。明るい安心感が商品性。
伊予柑:蛍光灯なんて、差別化できねぇものによく見つけるなー。職人肌なひとは「言葉遊びじゃねぇか!」とこの手の作業を嫌がるのですが、商品は手に取ってもらえないとその良さがわからないので、「手に取る前に」良さを伝える必要があり、商品性を明確に言葉にする必要があるのでした。ちなみに、このサロンにおけるペヤングの商品性は「楽しそうな話題に参加できる」です。

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サロンにおけるペヤングの商品性は「楽しそうな話題に参加できる」だとおおおお!? そんな言葉でてこない、けれどとても納得できる。ただの蛍光灯、ただのカップ焼きそばなのに欲しくなってしまうのは、こういう人間の心を気持ちよくする言葉を操る人たちがいるからなんだと考えてしまった。

コピーライターの仕事に関しても、◯◯配合、□□配合だけ書いてある風邪薬よりも、風邪でも絶対に休めないあなたにと謳っている薬のが欲しくならないだろうか?(風邪のときぐらい会社休ませてと思うのはナシね)

プレゼンとかでもそうですよね。いろいろ要素を列挙するよりも、見出しには本提案で業務効率が3倍になりますとか、インパクトあるような言葉を選びませんか?そのあとにその理由をつらつらと述べますよね。
つまり、要素だけ見ていっても、中身がよくわかってない人には、それによって何がどうなるか全く伝わらないんですよね。しかし、どうしてもその提案を通したいなら少し脚色してでもインパクトのあることを先に言って、上司に興味を持って貰って、それから説明しようと考えませんか? 先に結論述べて、理由を後から言えみたいなのは、いろいろな本に書いてあると思います。けれど、それと全く同じことがキャッチコピーや商品説明の世界にも入っていたのは意識できていなかった。

自己アピールにでも、自分のアイデアや商品何にでも使える、商品性を見出す考え方って素晴らしい。ペヤングから「楽しそうな話題に参加できる」という商品性を見いだせるようになるにはまだまだほど遠い話になりそうだけど。。

伊予柑さん、うさみさん、またサロン生のみなさんありがとうございました。とても面白い話が見れて最高でした。最後に伊予柑さんが商品性を見出す為の入門の本を紹介していたので、リンクを貼っておきます。
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