小中規模の展覧会搬入あれこれ(2)そのとき主催者は?(郵送宅配搬入など)

 展覧会搬入出について、字展では出来る限り郵送宅配搬入出をしない方向で居ました。
 ですが、どうしても道外からも参加したい、道内でも直接は難しいから郵送を、という要望もあり、不安を抱えたままではありましたが、「ではやってみよう」ということで郵送宅配を受け入れることになりました。

郵送宅配搬入出のメリットとデメリットについて 

 郵送宅配搬入出のメリットとデメリットについて考えてみました。
 
 まずはメリットについて
 遠方の人が参加しやすくなる。
 これは一番大きなメリットだと思います。諦めていた展覧会に参加できることは大変喜ばしいことです。主催者側としてのメリットも、より多くの参加者を期待できます。
 出展者の数が増えてくれると、それを目当てに見きてくれる方も増えてきます。そうすると他の作品も目にしてもらいやすくなる。
 これはとても大きなメリットだと考えています。
 
 ではデメリットは何か
 小規模なグループ展では、主にスタッフが主催一人しかいないときもあります。
 基本的には出展者の方はご自身の作品の設営に時間をとられるため、出展者がバランスを考えて配置を決めて設営していくことが多いと思います。
 なので郵送宅配搬入出の人のほうが多くなる場合、主催側としての負担は大きくなります。
 そのためにスタッフを雇う余裕がない展覧会も多く、出展者の方に手伝っていただくことも多いと思います。つまりそれは出展者の皆さんの優しさに甘える形になってしまいます。それを支えあいと考えても美しい話ではありますが、ですが、出来れば主催者側で本当はうまく解消できる方法を考えなければならないと思ってはいます。互いの負担を減らすためにはどうするか、というところです。
 それでもやっぱり手伝っていただけるとありがたいのも事実です(いつも手伝ってくださって出展者の皆様ありがとうございます(;;))

負担を減らす方法

 これについては、小中規模の展覧会搬入あれこれ(1)郵送・宅配での搬入出について考えるにも記しましたが、搬入出の手間をいかに簡略が出来るか、というのが勝負だと思いました。
 
 それにはこういうことを念頭に置くといいのではないかと思いました。
 まずは出展者側の考えについて。
1)出展の作品数が多い場合(設営する小物が多い場合も含めて)設営する主催者に負担はないかあらかじめ問い合わせておく。
2)設営の方法や、搬出の方法の指示を細かく書いた指示書を必ず添付する。
3)自分で設営して何分かかるかを計測して、あまりにも長いようだったら設営方法を考え直してみる。 
4)絵などの場合、ちゃんと意図や壁に書けるためのフックをちゃんとつけているか確認しておく(会場で糸を通さなくてはならないことがけっこう多く、それは主催者への大きな負担となることも多かったです)

 1)について。私も問い合わせをそういえばしたことがないので、これはどうだろうと思ったりもしたのですが、あまりにも数が多い場合はやっぱり問い合わせておくと安心かなと思いました。 
 たとえば80センチ平方メートルにはいればいい、といわれても、そこにみっちみちに展示するのは大変ですよね。自分でやれてもひとはやれないこともある、ということを自覚しておけば、トラブルも避けられると考えたのでした。

2)について、指示書は細かくつけてくれる人と、お任せします、と言う人が居ます。私はどちらかというと後者のほうでしたが、なるべく今は指示書を添付するようにしています。指示書は、配置の指示書もですが、返送時の梱包の指示書も意味します。
 人の記憶はあいまいで、私も先日搬出を手伝って元通りに入れることができなかったこともありました。
 撮影して確認をしろ、といわれたらそれまでですが、会場では思った以上に時間が足りません。元のとおりに出来ないことのほうが多くて、それが事故につながってしまうのだと再認識しました。
 どんな風に梱包されていたか全部撮影して記録している余裕がなかったこともあって、そういう余裕を主催側や設営者側がもてるようにできるには、設営の手間が少ないことも肝心なのだと思いました。
 あと、指示書は自分が思っているより、相手に伝わりにくい場合も多いです。私も何度か訊ねられたりもしました。
 物事には完璧はないのだと思ったりもして、なるべく簡略でわかりやすい指示書を目指すといいのかな、と反省もしたのでした。
 指示書を入れなかったために想像してなかった梱包方法で帰ってきたこともありましたが、考えてみたらあの搬出の現場で特に指示書がなければ何とかして想像で梱包するしかありません。当事はなんでだよ!って思ってたけど今となっては逆に申し訳なかったなとも思います。指示書は自分が想像している以上に大事。

3)について、自分が設営してかかる30分は、他人が設営しての50分と考えろ、とは先輩のご意見。
 自作を知らない人が設営するのだから時間がかかって当たり前なのだと思いました。
 実際主催でやっているときには、一つ一つ確認しながらの作業なので、自作の設営よりも二倍三倍の時間がかかって、それでも間違っていたりなどで手直しも多くあります。
 ここで、自分自身の設営時間から、かかる時間を想像して、あまりにも長い時間がかかりそうな設営方法でしたら一度問い合わせるなどもできるかと思いました。
 主催者側は、なるべく出展者のやりたいことを実現してあげようと頑張ってくれます。
 それに答えたくて私たち出展者側も頑張ろうとするのですが、お互いの頑張りがからまわりしないように、あと、自分が直接搬入で設営する場合でもこのリハーサルはけっこう有効な気がします。
 私は一応リハーサルをしてから会場にむかうことにはしてます。
 
4)フックなどは必須です。当日なかったー!てこともあるとは思います。これは早めにちゃんと考えての搬入をすると、郵送でも直接でもさくっと追われるので大事かなと思いました。あと100均一の額を使う方もいますが、それのフックは取れやすいことも多いです、特に薄い金属で何かに引っ掛けるタイプのフックは壊れやすいです。別の金具に取り換えるか、自分で一度自室で試し設営してみてください。自分がやりにくいものは人は100倍やりにくいと考えてもらえるといいと思います。


 
 主催者側の考えについて。
1)指示書の提出指示を徹底する。
2)出展者から手伝ってもらえることは当てにしない、でも手伝ってもらえるときには、その設営のさいに起こる事故などは全部主催者に責任があることをちゃんと自覚する。
3)複雑な梱包である場合は、元通りに戻せないこともあることをあらかじめ認知してもらう必要もあるのではないだろうか。
 
 主催者という立場になる前まではさほど考えては居なかったけれど、人の作品を代理で搬出し収納して送るということはとても大変だということを知りました。
 善意で手伝って失敗してしまったこともあります。善意で手伝ってもらって違っていたということも後で解ったこともあります。全体を管理するにも搬出での限られた時間の中で把握するのは本当に大変です。その手間をなくすためにも、少々うるさいなと思われようともお願い事は大切なのかなと思っています。
 幸い字展では郵送搬入が少ないのでそこまでは徹底していませんでしたが、今後人形展など立体を含む展示についてはこれは口酸っぱくしていく必要もあるのかなと思いました。 
 
 
 今後はどんどん郵送宅配搬入の方法も変わってくるとは思います(各配送業者のルールも変わったりしますし)そのたびに、これらは何回も見直していく必要もあるな、とも思いました。
 
 
  

  

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