マガジンのカバー画像

私と不妊治療と流産と

28
自分の4年間にわたる不妊治療・2度の流産・不育症にまつわるエッセイのようなもの
運営しているクリエイター

#エッセイ部門

不妊治療で病んだら植物を育てよう

この行き場を無くしたあふれる母性をどうすればいいのか?不妊治療中、メンタルを病む人は少なくない。3年間ずっと不妊治療中の私もそのひとりだ。 がんばっても一向に終わりが見えない。私がはまっている不妊治療という沼を、周りはあっけなく通り過ぎていく。それがたまらなく虚しい。 そんなとき救いを求めてペット飼う人は多い。無論、幼少期から猫を飼っていた私は大賛成であるが、植物を育てることも同じくらい有力な候補に挙がってもいいと思う。 私は不妊治療でどうしようもなく病んでいた頃に、ほ

いよいよ妊娠出産するんだ!

先日3回目の採卵手術を終え、かつてなく前向きな気持ちになれている。 過去2回の採卵は12個とれても凍結できた胚盤胞はたったの1個ずつ。若いわりには凍結数が少ないと言われていた。でも、今回は3個も凍結できた。最高記録だ。 しかも、不育症の検査結果が出て、流産の原因を特定した上で対処法も準備できている。 これはもう妊娠出産まっしぐらコースではないか? そうだとも。マツケンサンバならぬ「着床サンバ」を歌って踊るしかない。 陽気なラテンのリズムに合わせて、妙に語呂の良い「着

働く上で知りたい体外受精のリアル

この3年半のあいだに全身麻酔を伴う手術を5回もした。採卵手術を3回、流産手術を2回。 どう考えても心身に過度の負担がかかっている。しかも、仕事しながら両立してきた。 先日は3回目の採卵手術を終えた。 採卵手術を超簡潔に言うと。女性は本来、毎月卵巣で何十個もの卵子の種を生み出し、その中で選ばれし1つの卵子だけが大きくなり排卵する。残りの卵子の種たちは消えていく。その消えゆくはずだった卵子たち複数個を大きく育て、針でひとつひとつ刺して採取する手術である。 聞くだけでおっか

この注射、自分の腹に打つの?

不妊治療の採卵周期が始まると毎日自分の腹に自ら注射を打つ。 最近はペンタイプの簡易的な注射が発明されたおかげで、痛みもほとんど感じず、簡単に注射を打てるようになった。私も恩恵に預かっている。 でも、病院が変わり、少し使う薬剤が違うので、採卵前にまじで普通の注射を打つことになった。自分で自分の腹に。 いや、怖すぎやろ「下腹の肉をつまんで刺してください」と病院からラフに説明を受けたけど、どういう角度でどこまで刺せばいいわけ?私、看護師でもなんでもないけど刺せるんすか? 怖

最高のシナリオだけ考える

来週から地獄の採卵周期がスタートしてしまう。文字どおり地獄のような壮絶な治療である。受け入れたくない。まさか自分が3回も採卵手術をすることになるなんて、だれが予想できただろうか。 まだ血液量が多い生理3日目の内診も、毎週の通院も(3時間の待ち時間・採血)、日々の注射や投薬も、当日の点滴も手術も、卵巣がパンパンに膨らんだ痛みも、あらゆる治療のリスクと恐怖も、仕事との調整も、すべて女性側が一人で背負わなければならない。 でも、ポジティブに考えよう。 来月採卵して翌月に移植、

生理予定日前のトイレが怖い

もう不妊治療4年目に突入するのに、何度経験してもリセットはつらいものだ。 なにせ毎月、生理予定日前にトイレに行くのが怖い。 また生理きちゃうのかな? 現実に向き合いたくないが故にトイレに行けない。もし血がついたら。そのあとは「また今月もダメだった」と、どん底に突き落とされるだけ。 信じたくなくて妊娠検査薬をやってみるけど、真っ白。受け入れられずに斜めから下から上から見ては線が入らないかと必死に凝視する。もちろん線は入ってくれない。 しかも、いまだに生理の前兆を「着床

ゆとりある暮らし

しばらく休職することにした。 3年間の不妊治療と二度の流産を経験すると、あるゆる手段をやり尽くし、いよいよ残された選択肢「仕事を休む」が有力になってくる。 そりゃそうだ。毎日自炊してジムに行って規則正しい生活をしよう!と思っても、朝から晩までミーティングがびっちり詰まった仕事の予定に合わせて生活しなければならない。 当然ながら妊娠には規則正しい生活が重要で、ストレスは多大なる影響を及ぼす。 自然妊娠できる人たちですら妊活中は食生活に気を遣うはずなのに、一方、不妊治療に

不妊症と不育症のダブルパンチ

先日受けた不育症の検査結果を聞きに行った。 結果的に、私は不妊症と不育症を併せ持つ人間であることが判明してしまった。 プロテインS欠乏。赤ちゃんと母体をつなぐ胎盤の血管に血栓ができてしまい、血液を介した酸素や栄養の供給ができなくなり、赤ちゃんが亡くなってしまうらしい。(とはいえ軽度なので要因は断定できないそうだが) だから、心拍確認後にも関わらず2回も流産しちゃったのかなあ。自分のせいだったかもしれないと思うと、涙がでるほど落ち込む。 ただ、血栓をできにくくする薬を毎

その繁殖力、分けてくれ

不妊治療をしながらガーデニングしていると、「その繁殖力、分けてくれよ!」と羨ましく思う場面にたくさん遭遇する。 最たる例が多肉植物だ。 親株・子株と呼んでいるが、簡単に言うと、彼らは自分の体に子どもを産みつける。 もちろん水やりなど毎日お世話をして、親が立派に成長した上で子どもが誕生するのだが、にしても、ものすごい繁殖力。 しかも、子どもは1人や2人ではない。こちらの子宝草は文字どおり子宝に恵まれ、1つの親の葉から何十人も小さな子どもが生まれる。大家族だ。 なんて羨

一生産めない覚悟

先日不育症の検査を受けた。クリニックの壁に新聞記事の切り抜きが貼ってあり「不育症治療、8割は出産可能」と見出しが目に飛び込んできた。 じゃあ残りの2割は・・・? ここまできたら覚悟しなければならない。周りの人は口を揃えて「まだ若いから大丈夫」と言うけれど、若いのに3年間も治療してできないのだから、むしろ深刻ではないか? 3月に流産したとき、妊娠で休会していた習い事を再開するため、やむを得ず流産したことを先生に伝えた。 すると意外にも、先生も過去不妊治療をしていたこと、

不育症検査を受けて(13万円...)

今日は初めて不育症の検査を受けてきた。 不妊治療という言葉は世に広まりつつあるが、不育症は聞いたことがない人もいるだろう。 着床まで至らないのが不妊症、着色後の流産を繰り返すのが不育症だ。 私は授かるまでも不妊治療で数年がかりなのに、着床後もうまくいかない。ついに不育症までやる羽目になってしまった。 検査内容は子宮内エコーと血液検査。不妊治療と比べて痛くないのが唯一の救いだ。子宮内エコーや採血は不妊治療でもう慣れっこである。 子宮内エコーには思いがけず感動した。いつ

ただいま

GWの旅行から帰ると真っ先にベランダに向かう。 ほんの数日しか家をあけていないのに、たまらなく植物たちが恋しくなる。 姿を見てホッとする。なんなら抱きしめたくなる。 旅先で「あの子は大きくなっているかな」「水は切れてないかしら」と思い出していたけれど、案の定、帰宅すると成長が目に見えて分かる。 つぼみが色付いているときもあれば、花が咲いているときもある。 中には水切れして草がクタッと萎びれているものも。慌てて水をやり、なんとか一命を取り留める。今のところ旅行が原因で

私と不妊治療と流産と

不妊治療と流産のnoteをまとめるマガジンを作った。 花も不妊治療も私の日常。どのnoteに登場してもおかしくないのだが、特に不妊治療や流産に触れているnoteを見分けるため、このマガジンに入れていくことにした。 ところで、今日は流産手術後の検診だった。先生から「子宮つるつるですね、キレイになってます」と言われ、自然治癒力の偉大さに感謝しかない。 にしても子宮がつるつるって分かるもんなのか。渡されたモノクロの無機質なエコー写真からは子宮の質感は全く伝わってこない。これが

流産手術から1週間

信じられないほど、あっという間に時は過ぎ去る。 手術後の体調が悪い期間を経て、ようやく落ち着いてきた。 子宮収縮剤のせいなのか、手術の疲れなのか、お腹が痛かったり出血もあり、当たり前だけど手術は体に負担がかかるんだなと。 もう不妊治療を始めてから3年間で6回も手術をしている。今までは手術と無縁の人生だったから、ここにきて異常な頻度。 手術の前はとにかく憂鬱だ。 事前にサインする手術や麻酔の同意書には、目を背けたくなるくらい怖いリスクが書き連ねてある。同意書の内容を淡