森茉莉のにゅうとねいを思い出して


お粥が好きなので、お粥のレシピをずっと眺めてる日がある。

このお粥の記事を見て、思い出したのは森茉莉のにゅうとねい。
森茉莉が好きな人なら一度は試してみただろうレシピ。
多分お粥を好きになったきっかけがにゅうとねいなので、牛肉と葱のお粥は少し特別に思ってしまう。

にゅうとねいは小説やエッセイの中では、牛肉と葱をバターでソテーしたものをお粥にのせたものと書かれている。
ネットで森茉莉のにゅうとねいと検索して出てくる赤いステーキの乗ったレシピと、私のレシピは少し違っている。

2000年頃に『甘い蜜の部屋』が気に入って他の人の感想も読みたかった私は森茉莉の作品紹介などのファンサイトを見つけた。そこの管理人さんが小説やエッセイから推測したレシピを載せていた。チョコレートの砂糖がけとか、サンドイッチとか。そのなかににゅうとねいのレシピがあった。
そのファンサイトはホームページサービスの終了ともになくなってしまったらしく、検索しても見つからず記憶のままで書くのだけど、茉莉が風邪のときに鴎外が作らせて食べさせたのだから、牛肉も葱も柔らかく煮込まれたのだろうという推測をもとに、少しのバターとほんの少しの醤油と水で牛肉と葱をくたくたに煮て、塩を入れないお粥に合わせたレシピだった。
ホームページを見つけた学生時代から作っているこのにゅうとねい、醤油が入ってるので少し甘くて香ばしい香りと味がするけど、この引用した牛ねぎ粥にとても似ていて懐かしい。

鈴木さんのnoteの多くにはご主人の粥を食べる様子が少し書かれていてその愛情深い視線を読んだときに、ふと、にゅうとねいを食べるときのことも思い出した。

にゅうとねいは森茉莉の思い出の食べ物としてエッセイに登場する。
茉莉の幼い頃の父親の優しさ愛情深さが重ね合わさったにゅうとねいを食べるとき、私は少しさみしくなる。なぜならもうないものだから。

でもたぶん、茉莉は違ったんだろうな。降り積もった愛情は思い出の中からもにゅうとねいにふりかけることができて、そこにさみしさはなかったんだろう。重なり続けた愛情が目の前にあった。

これから先、私がにゅうとねいを食べるときに、やっぱりさみしさは消えないんだろうけど、いつか愛情深さを感じることができる食べ物になればいいな。

(鈴木さんのレシピを見ながらそんなことを思ったので引用させてもらったけどあんまり関係ない話で失礼だったかもしれない…すみません)

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