美容外科のあるべき姿

なんだか仰々しいタイトルになってしまいましたが、美容外科の一医師として、僕が考える美容外科とは?ということをお話したいと思います。

外科・小児科・脳神経科など医者にはいろいろな専門がありますが、医師の卵たちはまずすべての診療内容を医大で学びます。ただ以前お話したように、残念ながら美容外科については大学ではほとんど学ぶ機会がないんです。ある意味アウトローですよね(笑)
だから、自分自らがどれだけ情報や新しい技術を身に着けられるか、そのどん欲さが常に重要な医療でもあるんです。

形成外科と美容外科の大きな違い

医療技術的に美容外科に一番近いのは、形成外科です。形成外科とは、やけどの治療や、先天的な奇形、ケガ、癌などによる変形や欠損を治療する医療。だから形成外科の技術さえあれば美容外科もできると思われがちですが、そこには大きな違いがあります。

美容外科に絶対必要な事、それは「美しさの追求」です。形成外科は身体の異常な部分を正常な状態に回復・再建するのが目的ですが、美容外科はただ傷を取ったり、形を正常なものにしたりするだけではなく、その名の通り“美”という基準が必要です。医師としてテクニックがあるというのは当り前。美容外科には、さらに“美しさ”を常に追求し続ける義務があるんです。

医師とファッション誌?!

だからこそ譲れないのは、やっぱりセンス。僕がまだ新米医師だったころは、尊敬する医師からファッション雑誌も読めと言われました。最初は医師なのになんでファッション誌?と思いましたが、患者様が求めている“美しさ”を知るためにはそれも必要な事。雑誌だけではなく、美術館に行ったり映画を観るのもいいでしょう。診察の時に医師が患者様の望む“美”の意味がわからないなら、患者様を満足させることはできません。もちろん、患者様ひとりひとり求めているものも違いますから、医師自身の好みに偏ってもいけません。幅広く柔軟な視点で “美”の本質を理解すること、それが美容外科の医師に重要な事だと僕は思っています。

患者様が求める“美”を理解する

例えば、豊胸手術でもただ大きくすればいいわけではありません。どの位置ならきれいに見えるのか、患者様がどんな形を望んでいるのか、そして患者様の身体に対しバランスよいバストになっているのか、医師の立場ですべてを考えて、美しい胸を実現するのが美容外科なんです。
さらに言えば、患者様の「眼をぱっちりさせたい」という言葉には、ただ目の形だけではなく、明るい印象になって暗い性格を変えたいという心の声が隠れているかもしれません。
患者様の思いをくみ取って、求める美、時にはそれ以上の美を実現する。それが美容外科のあるべき姿だと思っています。

元の記事: https://www.garden-senbi.jp/chairmancolumn/vol-04/


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