見出し画像

Update

ある不具合を修正するためのアップデートが新たな不具合を引き起こすこともあれば、それまで正常だった部分に異常をもたらすこともある。
アップデートにはこのような性質があることをご存じの方も多いだろう。

価値観のアップデートを推奨する言説を見かけるようになって久しいが、アップデートに関する知識を持つ者であれば、それにも不具合が伴うであろうことは想像に難くない。
さほど詳しくない者であっても「価値観をアップデートしてください」と宣う当人がそこかしこで異常行動に勤しむ様を目にすれば、当事者に不具合が生じていることがわかるだろう。

今後のパッチで治るのか、一旦フォーマットするべきか、それとも、まるきり別のシステムに変更するべきだろうか。コンピューターであればこれらの対処が候補に挙がるところだが、脳とコンピューターは仕組みが異なるため、別の復旧方法を考えなくてはならない。

脳とコンピューターは異なる仕組みである、と述べたが、それは近代的なコンピューターとは違う、という意味でのことだ。
初期のコンピューターと現在主流となっているコンピューターとの決定的な違いとして、ハードウェアとソフトウェアが分離されているか否か、という点が挙げられる。
初期のコンピューターは真空管や配線などの部品の接続によってプログラムを実装しており、部品を組み替えることでプログラムを変更していた。つまり、ハードウェアとソフトウェアが一体化しているのだ。このようなコンピューターは、例えばソケット部分では正しく配置されているにも関わらず、接触不良や断線等のハードウェア的な不具合が直接的にソフトウェアの論理性を損なうという、非常に扱いにくい性質を持っていた。しかし、デリケートである反面、衝撃によって接触状況が変化するなどして不具合が解消されることもあったという。

脳もハードウェアとソフトウェアが混合した演算システムであり、非常にデリケートな性質を持つ点も初期のコンピューターと似通っているとなれば、両者は復旧手段についても類似性があるのではないかと考えるのが自然だろう。
つまり、価値観ソフトウェアに生じた不具合は頭部ハードウェアへの衝撃によって解消できる可能性が高い。

お試しあれ。