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がらくた宝物殿 1月怪奇コント「ちょっと人面犬」稽古 #6

12月25日、6回目の稽古。2019年の稽古納めです!

稽古前 / 作品テーマと「微妙なニュアンス」に関連するセレンディピティ的な遭遇

稽古中の話ではないのですが、最近今作に関係ありそうな考えに出会う機会があったのでその話を軽く。

12月24日。

存在することの苦しみと絶望、それに気がつかぬという絶望について議論するとってもクリスマスらしい壮絶なイベントがありました。この議題、今回の台本のテーマに通じるところもあるのですが、台本を作るときに直感的に処理していた部分にも対応する思想やモチーフを発見するという、思わぬ収穫がありました。これはセレンディピティの親戚的な出来事と言ってよいのでしょうか。

何かの記事で映画監督の上田慎一郎さんが生きづらさを抱える人たちの助けになればいいなと思いながら「カメラを止めるな」を作ったというのを読んだ気がするのですが、がらくた宝物殿の1月の作品もそんな感じかもしれません。生きづらさを抱える人には私も含まれてしまっているので建設的な解決のようなものは何も提示できませんし逆効果の可能性もありますが。特に私はなぜかニヒルに対して「陥ってはダメだ」という思いが強く、自殺しようがないタイプの人間なので、死の淵にいる人を止める力みたいなのは絶対に発揮されません。死がなぜ救いではないのか、信仰に絡まない説明は可能なのでしょうか?


12月25日の昼間。

ウェス・アンダーソンの映画の演出について議論する時間があったのですが、そのときに〈quirky〉という言葉を知りました。知りました、と言ってもまだよくわかっていませんが。「変な」とか「一癖ある」とかいうような意味で、90年代以降のコメディ映画を語る際に時々登場する単語なんだとか。いわゆるスラングというやつで何か定義があるわけではないけれど無視できない感覚だそう。〈quirky〉な映画の例としてその時挙げてもらった映画は、監督だとジャームッシュ、ウェス・アンダーソン、作品だと「リトル・ミス・サンシャイン」「バッファロー'66」「ナポレオン・ダイナマイト」など。

なぜこんな話をするのかというと、今作は何かタグをつけるなら〈quirky〉かもしれないなと思ったからです。(自分や自作に使うと恥ずかしい感じの表現だというのは承知の上で、どんなのやるんだろうと思ってくださる方の参考になれば嬉しき哉、と思い敢えて言ってしまいます)。ジャームッシュは自作を〈quirky〉と括られるのは心外だと言ったとか言わなかったとかいう話も聞いたので、それに習ってかっこよく否定してやりたい気持ちもありますが。

と言っても、私の〈quirky〉感が正しいのか、そしていないかもしれない読んでくださってる方と近いのかは判定できないので、ここに私が〈quirky〉なのかなこれが、と思ったものを並べてみます。

映画:「亀は意外と速く泳ぐ」「さよなら人類」「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」「LUCKY」「ストレイト・ストーリー」「パンドラの匣」……

マンガ(作家):小田扉、クリハラタカシ、田中六大、シュルツ、……

〈quirky〉を挙げていったのか自分の好きなものを紹介したのか若干混同しかけましたがこんな感じです。まだいっぱいあります。

我々というか私が「微妙なニュアンス」と呼んでいるものは一種の〈quirky〉なのではないかと思います。「気まずさ」「居心地の悪さ」「惨めな気持ち」「みんなが楽しんでいるときに自分だけ悲しい」「切なさ」など、現実で経験したらちょっと吐きそうになるようなことから距離を取りつつ、でも離れきれずに頷いたり、どうしようもなくまた近づいていってしまう……コメディにおけるそういう感覚?ががらくた宝物殿の言う「微妙なニュアンス」というやつです。

先に挙げたものたちに似ているわけではないですが、もし何か気になるものやピンと来るもの、好きなものが挙がっていたなら、がらくた宝物殿も観てみてほしいです。


稽古

年末はメンタルがクソザコでエモーションがマックスハートになっているのでちょっとしっとりめの曲を聴いただけでも泣きそうになります。稽古とは何も関係ないです。

稽古はとてもスムーズにいきました。ちょっと悲しいシーンをやったりしたのでちょっと悲しくなりました。年末なので。

年末なので忘年会もしました。まだ「今年」なので年が明けるまであと6日分の年はたまってしまいます。本当に年を忘れるつもりなら大晦日に日付跨ぎながら忘年会をしなくてはなりません。
楽しかった記憶はありますがなんの話をしてなんの話をしていないのか、正確には覚えていないので、来年の稽古中の会話は毎回「この話したっけ?」からやらないといけません。

私は長らく、楽しい時に楽しいと言えない子で、それが子じゃなくなっただけで性質は今もあまり変わっていません。自分はなんだか楽しんではいけない人間なのではないか……と無意識に思ってしまっているのでしょうか。

以下、それを踏まえた上での発言です。

今回の演劇に関するあれこれはとても、とても楽しいです。


公演情報

イッテルビウムとがらくた宝物殿
新春怪奇コント祭り
「ちょっと人面犬」

2020年1月18日(土) 15:00/19:00
会場:konya-gallery
料金:500円

ご予約→
https://forms.gle/CcsLCFeGsfCpembT6

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