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がらくた宝物殿 1月怪奇コント「ちょっと人面犬」稽古 #9

稽古最終局面。忍び寄るおみくじの魔の手、振り払う稽古場の仲間たち

稽古の日程もほとんど終わろうかという時、「あの部分が不安だ」「ここはこうした方がおもしろいのでは?」とずっと小さなアップデートをし続けるWindows野郎たち。Windowsと違ってアップデート中も色々動き回れるところに〈人間〉を感じます。


気持ちの落ち込む冬、稽古で元気

1月。冬は何もせずとも気持ちが落ち込むというのに、さらに色々迫ってきてると心の不安定感がとんでもなくなります。が、稽古場に来るとだんだん元気になります。これは個人的なありがとうポイントです。

さて、そんな冬の中でもなかなか寒めの日。稽古場にはいつもより多めで5人が集いました。役者3名に加え、当日スタッフ業務を手伝ってくださる2名です。2名とも、なんかちょっと元気ナイネ、これも冬だからでしょうか。笑ったり感想言ったり意見くれたり、ありがとうございます。

一見順調に見えた稽古場の風景ですが、この時すでにおそろしい魔の手が忍び寄っていたのかもしれません……。


おみくじの魔の手

はじまりはついこの間のこと。気まぐれに立ち寄った神社でひいたおみくじ。

大吉とかひいても逆に不安になっちゃうしそこそこの吉レベルのやつでいいなあと思っていた私の手元には「末吉」の2字。やったぜ、と思いました。おみくじというやつは、そこそこの吉レベルの方がいいことを書いているのです。以前大吉を引いたのにめちゃくちゃ叱ってくる文面だった時以来、私は末吉で喜ぶ人間になったのです。

は???

末吉ごときの吉レベルでこんな釘を刺されることがありましょうか。

「出来るだけ身をへり下って何事にも我から進んでしないがよい」

いやいや、週末には公演控えているんだけれど。めちゃくちゃ自ら進んでやっておるわ……。


まあまあ、でも所詮おみくじ。都合が悪ければ信じぬがよいと言うではないですか。そう言い聞かせ、お賽銭をちょっと多めに入れて帰りました。


数日後、稽古の日。稽古が終わり5人でごはん屋さんを目指します。どこに行くかワイワイ議論した挙句にたどり着いた定食屋。おかずにご飯とお味噌汁の最強セット。店員さんが持ってきたお盆を奥の人に回します。その他色々ふざけておりましたところ……味噌汁の器を、ひっくり返してしまいました。
なんだそんなことか、と思われるかもしれませんが、悲しみのスイッチが入るには十分なきっかけでした。頭をよぎるおみくじに書かれた文言。私はこの2020年という年が不安でたまらなくなりました。

進んで何かをしたら思わぬ災い……。ご飯を食べに行くだけでお味噌汁をひっくり返すなんて、このまま公演を進んでやってしまって大丈夫なのでしょうか。
そもそも、何かをするという選択もしないという選択も、どちらも積極的に選ばれるかぎり思わぬ災いの射程内ではありませんか!今年、私は何をしようとも思わぬ災いに遭ってしまう。あのおみくじは、パンドラの匣だったのかもしれません……。

パンドラの匣の底には希望がなんとか、という話をよく耳にしますよね。

まさに今、自ら進んでやろうとしている演劇公演のための稽古にそんな希望はありましたよ。


稽古後

稽古終わり、定食屋。私がお味噌汁を失った後の世界。大きめのテレビでは知らないバラエティ番組。女の子が上京して新居を探すという内容。

「え、部屋綺麗じゃない?」
「いや広い広い」
「これで10万きるのはすごくない?」
「うわ雨戸もついてんの」

テレビを眺めながらリアクションを取るWindows野郎たち。5名中3名がまさにお部屋探しイベントの渦中にいたためか、そこそこ盛り上がります。

「えー部屋この辺にしたらよかったなあ」
「エレベーターカードキーってホテルか」
「それでこの家賃?」

きれいさや行き届いた防犯システムの割に安い家賃に我々は釘付けに。

そして次に映し出されたトイレの映像。テレビの前のみんなの声が揃います。

あーなんだ、ユニットバスかあ



え、実家?ここ実家??みんなで食卓を囲みながらテレビにリアクションとっているこの空間は、実家ですか?2020年の不安感もすっかり払拭され、むしろ安心すら感じてきました。

食事が終わり、「お済みのものおさげしますね」と店員さん。お盆が持ち去られた後のテーブルには、こぼれた味噌汁の名残が……。やっぱりちょっと不安ですね、本番前におみくじ引きなおしておきます……。



公演情報

イッテルビウムとがらくた宝物殿
新春怪奇コント祭り
「ちょっと人面犬」

2020年1月18日(土) 15:00/19:00
会場:konya-gallery
料金:500円

予約席は埋まってしまいましたが、当日券はご用意いたします。立ち見でもよければ割と無限に入場いただけるかもしれないので、ぜひお越しください。

当日券の枚数などの情報はがらくた宝物殿のtwitterにてお知らせします。こまめに見ていただけるとうれしいです。

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