プロレスの練習生だった頃の話〜初日の練習

入寮した翌日、いつもと違う朝の光景に戸惑った。
見慣れた実家ではなく、狭い2段ベットで目が覚めた。
一瞬、ここがどこなのかわからなくなった。
先輩のアラームがWWEのレスラーの入場曲が響いていた。
起きてすぐ練習生がやることはリングの清掃と前日に緩めたロープを貼り直すことだ。
箒でリングを掃き、雑巾でマットとロープを拭く。
リング下にあるバックルを調整してロープを締める。
ロープが緩むと試合中や練習中に下に落ちて危険なのでとくにこの作業は神経を使う。
慣れない作業に戸惑いながら休む暇なく食事の準備をする。
米を炊き、ちゃんこを作り、お茶の用意をする。
まだ練習生は慣れないのでみんなで作った。
初日のちゃんこは簡単そうだったので醤油味にした。

朝10時、練習をするとのことで道場の前に集まった。
各々、自宅から持ってきた練習着に着替える。
私はこの日のためにと母が用意してくれた、ナイキのランニングシューズとTシャツを着た。

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