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写真家⑤スティーブ・マッカリー

今回は世界的な報道写真家であるスティーブ・マッカリーを紹介する。
スティーブ・マッカリーはアフガン紛争を捉えた写真家として有名であり、世界を代表する国際的な写真家のグループであるマグナムフォトにも所属している。
今回のヘッダー画像として使用した「アフガニスタンの少女」はナショナルジオグラフィック誌の表紙を飾ったあまりにも有名な写真である。
東日本大震災の際には来日し、宮城県気仙沼などの現状をカメラに収めたように、日本とも親交がある写真家。
一時はPhotoshopを使用し、意図的に写真を加工していたことで炎上騒ぎになったこともあったが、現在も前線で活躍されている。
今回は以下の「ポートレイト」という写真集の中から個人的に良かった写真三選を紹介したいと思う。
ただ紹介の前に、この写真集を通しての感想として、スティーブ・マッカリーの写真は対象者が「強く生きたい」と思っていることが伝わるような写真が多く、生きる上での活力をもらった気がする。
この写真集は、世界には多種多様な人が存在し、その人達が生きたいと思いながら生きているという、ある種当たり前ではあるが忘れがちなことを思い出させてくれる。
是非手元に置いて、疲れたときなどに見返されることを推奨する。

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まず紹介したいのは、このパラグアイで撮られた一枚である。
パラグアイは私にとって、正直未知な国であり、貧困国と言ったイメージはなかったが、調べてみると現在も貧困率が23.5%と高く、2003年は半数以上が極度の貧困に苦しんでいたという。
そんな国の事情もこの写真から理解できるほど、壮絶な写真である。
また、この写真がもし黒人の男の子だったら、私はこれほどの衝撃を受けたのだろうか?
この写真を見たときに、私は貧困といえば黒人というステレオタイプ的な思考を無意識に持っていたことに気が付いた。
人種に関係なく、貧困に陥っている人は存在するのである。

次はパキスタンで撮られた写真で、銃創を身にまとい、死と毎日が隣り合わせの青年の顔である。
覚悟を決めた表情を捉えるとはスティーブ・マッカリーの真骨頂が出た写真であると思う。
この時、青年はどのような気持ちだったのだろうか?この青年は無事だったのだろうか?

最後の3枚目もパキスタンで撮られた一枚である。
皺の深さが、その人の人生を表すといわんばかりの、濃い写真である。
私では想像もつかないような壮絶な人生を送られてきたのであろう。
そんなこの対象者の人生が蓄積され、表されているような名写真であると私は考える。

スティーブ・マッカリーの写真を見ていると、写されている人個人の人生に思いをはせ、その人が無事に生きているのか?という心配の念がこみ上げる。
写真に匿名性は担保されるべきという意見がある一方で、写真がより個人的なものになる、その人の人生を表すようなものであっても良いのかもしれないと今回Noteを書きながら考えた。
写真ってすごいと改めて思った。

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