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【Webセミナーレポート①】ACPのポイントとコツ ~看護師として自信をもって患者に接するために~

第1部 アドバンス・ケア・プランニングとは

第1部は新人から中堅の看護師さん、またがん医療に携わるナースの方向けの総論的な講義として福井小紀子先生(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 在宅・緩和ケア看護学)に以下4点についてお話いただきました。
 

1:ACPが重視される背景


 2010年から世界的に患者の意思を尊重するケアの実現を目指す動きが高まってきたこと、日本国内では2018年からの「人生会議」というネーミングによる推進キャンペーンに加え、診療報酬と介護報酬の算定要件化により、実践の場でも着目されるような流れとなっています。
 

2:ACPを行うにあたり、病院看護師に期待されること


 ACPを行う最初のタイミングを逃さないこと、患者さんの意思を繰り返し確認し、必要であれば早めに代理決定者にも意思決定に関わってもらうこと、患者さんの身近な希望や大切にしていることを聞くというスタンスが大切です。
 

3:ACPを始めるタイミングの見極め方


 サプライズクエスチョンやSPICTというツールを活用することで、タイミングを逃さないACPの開始が可能となります。

4:患者の意思確認の方法(SPIKES)


 SPIKESはACPを進めるために看護師に求められるコミュニケーションスキルで、以下の6つの要素から構成されています。
 ①S:setting and listening(場の設定と聴くスキル)
 ②P:perception(認識度を尋ねる)
 ③I:invitation(準備を確認する)
 ④K:knowledge(情報を提供する)
 ⑤E:emotion(気持ちを理解しようとする)
 ⑥S:summary(情報の要約と今後の方針を話し合う)
 SPIKESは必ずしもこの順番どおりに行う必要はありません。行ったり来たりしてもいいですし、繰り返してもOKです。最終的にはこの6ステップを網羅して進めていくことが大切です。
 ※講演ではそれぞれのステップの詳細について、時には具体的な会話例を交えながらご紹介いただきました。
 

福井小紀子先生からのメッセージ


『SPIKESは話しにくい話題について話す際に、看護師とご本人・ご家族だけでなく、本人と家族にも使えます。日頃話しにくい話題も、相手の認識や準備状況を確認しながら伝えていくスキルになります。また、お互いの思いやりを伝え合う機会にもなります。看護師としても、一般の人としても、またご本人ご家族とのコミュニケーションのきっかけ作りをするという意味でも、ぜひこのステップをマスターして望ましいACPを進めていただきたいと思います。』

参考図書のご案内

『明日から役立つ 疾患・場面別アドバンス・ケア・プランニング 事例と対話で読み解く意思決定支援』
編集: 福井小紀子
ページ数: 184
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524228348/