見出し画像

【Webセミナーレポート②】ACPのポイントとコツ ~看護師として自信をもって患者に接するために~

第2部 がん看護におけるアドバンス・ケア・プランニング
~エンドオブライフケアの時期に焦点をあてて~

第2部では、緩和ケアに関して比較的経験の浅い新人から中堅の看護師の皆様に向けて、差し迫った死を認識された患者や家族に対して行う少し難しいACPについて、部川玲子先生(北見赤十字病院/がん看護専門看護師)にお話しいただきました。

1:がん看護における意思決定支援の重要性


 がん看護は患者家族にとって診断時から予想していなかった悪い説明が続く状況でケアを行うことになります。さまざまな問題に向き合い決定していかなくてはならない中で、ACPに看護師が関わることで、患者さんの意思決定のお役に立つことができます。
積極的治療期には、治療の意味を見いだせるように治療の目的を共有しながら関わります。
ベストサポーティブケアへの移行期には、治療を続けて生きながらえるという希望を失って失意の中から価値を転換して新たな希望を見いだせるように関わります。
エンドオブライフケア期には最期の時をみすえて、患者さん自身が人生を振り返るお手伝いをしつつ、スピリチュアルペインに多職種で寄り添い、今までの生き方を尊重するように関わります。

2:患者の希望をささえるACP


傾聴とか共感にとどまらず、患者の語りを深めながらその人となりを理解していく必要があります。このような対話の中から、患者の希望を見いだして提案を行い、実現までの道のりを共に考えるのがACPでしょう。患者や家族が希望を見いだしていただければ、あとは寄り添って希望の実現に向けてサポートに力を注いでいくだけです。
がん患者の希望をささえるACPを行うためには、実現可能な希望を見いだしたり、家族間の関係を調整したり、症状を緩和することが大切だと私は考えています。
 

3:対話の重要性と看護師に求められる能力


エンドオブライフケアの時期にケアを行う看護師は患者の感情を受け止め、共に悲しみつらい現実と向き合い、苦悩する患者に寄り添い続ける覚悟が必要になってきます。
根気よく丁寧に患者との対話を持ち続けることが重要です。つらい出来事に向き合い、今まで思い描いていた人生とは違う生き方を選び取り成長し、変化する患者をケアできることが緩和ケアの醍醐味です。このような患者のケアを行うことで、看護師もまた成長できるものです。
SPIKESのようなスキルに関する知識を習得し、実践で使ってみることで、知識と技術が統合されていきます。コミュニケーション能力を高め、患者を理解したい,成長を助けたいという願いが信頼関係を築くことにつながります。
 

部川玲子先生からのメッセージ


『皆さまにはぜひ人生の意味づけを洞察してみてほしいです。起きてしまった出来事そのものは変えることはできなくても、患者さん自身の人生における意味づけは変えられる可能性があります。患者さんは、看護者が自分の体験を真剣に聞いて理解されたと認識できるとき、問題解決はできなくても、そこからエンパワーメントされたように感じる可能性があります。ぜひ、 “人生の意味づけ”してみていただければと思います。』

参考図書のご案内

『明日から役立つ 疾患・場面別アドバンス・ケア・プランニング 事例と対話で読み解く意思決定支援』
編集: 福井小紀子
ページ数: 184
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524228348/