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「私がブロックしている人」

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◆3月の振り返り

私は小学生くらいの頃から、自分が書いた文章に惚れ惚れしてしまうんです。
読書感想文とか卒業文集だとかのテキストを書く機会があると意気揚々として書いて、それが冊子になって手元にくると、ことあるごとに何度も何度も読み返して、なんておもしろい、ちょっとユーモアが効いて、知的な文章なんだ、なんてガキの頃から思っちゃっている、いわば「テキストナルシスト」でした。
私は口下手というか、気持ちを言葉で即興で表現することは苦手だなと思っていていつももどかしい思いをしていたので、テキストにして、本当に自分が伝えたいことをすべて乗せられるのが気持ち良いんだと思います。
言葉だと、伝えたいことの6割くらいしか伝えられない感覚があります。

◆コラム「私がブロックしている人」


あからさまな釣りタイトルで申し訳ありません(笑)
私が、何度Twitterを作り直しても毎回ブロックしている人を紹介します。
それは、
素人童貞の「素童」(すどう)さん。(ごめんね!!!)

彼との出会いは、彼が著書『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』を出版すると世間に公表していなかった、けれども既に決まっていた的な時期だったかと思います。
当時、私はテキストナルシストですからライターになりたくて、でも会社ではまったくクリエイティブなことはしていなくて、当時隆盛期だったイケハヤだとかあんちゃ、るってぃ、沖ケイタなどいわゆる「ブロガー」の界隈を覗いて、文章でお金をもらう人生って、自分の名前の出る仕事っていいなあと思っていた頃でした。

それで私は本業とは別にライターを名乗りだしました。まずブログを作って数本記事を書いてポートフォリオにしたら、WEBメディアにコールドメールを何十通も送ります。
それで返事を返してくれたメディア2、3件で少しずつ寄稿させてもらう、といったかんじで、既にライターだもんねと、我が物顔でいました。なんかすんごい柄と形の、作り込んだ痛い名刺も持っていました。


素童さんは界隈では「知る人ぞ知る」というかんじで、当時はフォロワー800人だったかな。
いや、私の記憶、特に数字に関してはとっても不得手なので、もしかしたら8000人だったかもしれません。800人か8000人です(笑)。
素人童貞を自称し、風俗通いの毎日をつぶやく彼のツイートはどれもおもしろくてキレがあってどこか哀愁が漂っていて、ほぼすべてのツイートにいいねしていた気がします。


おもしろいな~と他人事に見ていたある日、ひょんなことから半分仕事的なイベントで素童さんとご一緒することになりました。
素童さんに会えるなんてすごい! 私もライターとして名を上げたものだなあ。と躍るポンポコリンな気持ちで参加しました。

どこで会ったか、なにを食べたか、なにをしたか、なにをしゃべったか…これを書かないとおもしろくないし臨場感もないので心苦しいですが、万が一にもご本人に「あの人だ」とわかったら嫌なのでぼかしますが、とにかく、彼は「天才」だと感じました。

ヘラヘラして、その場の空気の上澄みに漂って、初対面ならこんなかんじの会話でしょ、といったかんじの軽々しい私と対照的に、彼はその場の空気をすべてつぶさに観察してやる、ちょっとの心の機微もとらえる、ペラペラな私のことなんてすべてお見通し、という印象を持ちました。
私が、誰でも書けるようなことしか書いていないライターなのに、ライターですと言い張っている虚勢も見抜かれている気がしました。

そして、そのイベント後、彼と私は同じイベントのレポートを書かなきゃいけなくて、それはもう重荷でした。彼と張り合う土俵に立っていないんだけれど、それ以前に、私単体でも、絶対おもしろい記事が書けない。
めっちゃ練り込んでなんとか完成させましたが、その数日後に彼の上げたレポートはもう、圧倒的。
その場の上澄みをすくって載せた私と違って、場の空気感、自身の恥ずかしい内面、他人の些細な言動、そして彼が今までに培ってきた豊富な知識をもって、めちゃくちゃおもしろい文章を書いていました。

ああ、これが本物のライターなんだな。
テキストナルシストだった私が、めっきめきに打ちのめされた瞬間でした。

彼は哲学者や、多くの文豪、作家の文章も読むそうです。そこで得た知識がウィットとなって文章に現れていました。
かたや、私の愛読書はバカ御用達のホリエモンの自己啓発本とか、エロ漫画のカラミザカリとかです。
せめて小説を読んだとしても、せいぜい山田詠美のエロめの本とか、西村賢太の自堕落な生活をつづった「苦役列車」です。
映画「ノルウェイの森」はセックスシーンだけ観てほかを飛ばすような奴です。
そんなライトでチープな奴に、深みのあるおもしろい文章なんて書けるわけがないんです。
なのに彼は、「ライターです」とも言わずに「IT企業で勤めてます。こっちはまあ趣味ですかね」みたいなことを言うんです。
※IT勤め公表されています

同じイベントのことを書いておきながら、もちろん反響も圧倒的な差があって、私はボロボロに打ち砕かれていましたから、しばらくすると自身のTwitterアカウントを閉鎖してしまいました。
寄稿していたメディアも、そんなに大きなところじゃなかったのでHPが完全に閉鎖してしまったり、私の影響力とコンテンツ力のなさから連載打ち切りになったりして、わたしのささやかなライター人生は終止符が打たれました。


彼と会ったのが大きなきっかけとなって、自分の名前が出るライターになりたいとは思わなくなりました。
優れたライターになれるのって、限られた、ある種カリスマ性のある人だけだなと思いました。

で、テキストのコミュニケーションが好きな私ですから、また違う名前でTwitterを再開するのですが、めっちゃおもしろい万バズツイートが流れてきたと思ったら、なんと素童さんなんです。
今はもういい歳ですから、自分の文章がタカが知れていることもわかっているし、ライターとしてバリバリ名を上げるぞ! という意気込みもあえて持たないうように気を付けているし、優れた誰かに激しく嫉妬するなんてことはなくなりましたが、素童さんのツイートだけは、どうしても心がチクッとするのです。
だから、私は何度Twitterをつくりなおしても、真っ先に彼を検索してブロックするようになりました。
完全に「嫉妬」からブロックしている、器の小さな人間です。

私は、彼を日本一の文豪だとマジで思っています。ぜひTwitterをフォローしてみてくださいね。

※私はマジで記憶がガバガバなので、「いや、事実とまるでちげーよ!」みたいなことが含まれているかもしれませんが、ご愛敬で❣


ありがとう!ウサギがあなたの靴をなめるよ