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第1回 厚木ラーメン研究会
Abstract
2022年5月7日、神奈川県厚木市にて第1回ラーメン研究会が開催された。本稿では、ラーメンができるまでの過程、および完成したラーメンの感想を報告する。
1. スープ作り
午前11時頃、本厚木駅に到着。本厚木駅は私が思っていたより栄えている。さすが本物の厚木を名乗るだけはある。これから、研究会の会場になるラーメン研究会会長の家に向かう。
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家に到着するとすぐにスープづくりが始まった。家主に言われるがままにゲンコツを砕き、豚足と背ガラは半分に割った。鍋に投入して下茹で開始。まだ到着して10分も経ってない。
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15分ほど茹でたら下茹では終わりだ。骨と鍋を軽く洗って表面についたアクを落としたら、再度鍋に戻し、香味野菜としてネギとニンニクを加えて炊く。
この間にもう1人の参加者も到着した。彼はラーメンの経験は浅いが、手打ちうどんの経験は豊富である。
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1時間半経過したところで、豚足を軽くつついて、ダシの出具合を確認します。ちょっとまだ硬さがあったので30分ほど加圧する。
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30分程度加圧して豚足はプルプルになったので、ここで取り出す。豚足を取り出した隙間にチャーシュー用の豚肩ロースと背アブラを押し込んで再び30分ほど加圧する。
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豚肩ロースも加圧して柔らかくなった。豚肩ロースは奥のコンロで作ったカエシにつけて冷蔵庫で寝かす。カエシは醤油、みりん、酒、砂糖、オイスターソースを一煮立ちさせている。
このまましばらく寝かせたらチャーシューが出来上がるが、私が家で仕込んで持ってきたチャーシューと、家主が前日に仕込んだチャーシューが既にあったので、この豚肩ロースチャーシューは今回はもう登場しない。
背アブラもこのタイミングで取り出し、適当に崩してトッピングに使う。
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香味野菜としてにんじん、玉ねぎ、キャベツを追加する。強火でガンガン炊いてスープを乳化させる。
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しばらく炊いて乳化させた。ゲンコツや背ガラ、野菜クズをザルで漉して豚骨スープの完成。
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2. 製麺
今回は3種類の小麦粉を使って麺を作っていく。使用する粉は蛋白含有率の高い順にオーション、麺遊記、特ナンバーワン。なぜ一般家庭にこんなに様々な小麦粉があるのか?
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まずは麺遊記から作る。粉は200g、加水率34%、塩とかんすいは1%です。かんすいとは炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどを主成分としたアルカリ塩の粉末のことで、これを加えることで中華麺特有のコシと色が生まれる。かんすいを入れないとうどんになる。
塩とかんすいを水に溶かしたら、粉に加えて水回しをする。
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水回しが終わったら軽くこねて形をまとめ、ジップロックに入れる。破れた時の保険でもう一枚ビニール袋をかぶせたら、足で踏んで、折り畳み、また足で踏んでを3~4回繰り返す。
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麺遊記と同様にオーションと特ナンバーワンも加水率34%で生地を作った。水分をなじませるために冷蔵庫でしばらく寝かす。
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しばらく寝かせたら製麺に移る。製麺に使用するのは皆様ご存知、小野式製麺機1型。これのために私は愛知県からはるばる厚木まできた。
現代社会で人力で製麺をしようと考える輩はほとんどいないため、小野式は新しいものは生産されておらず、中古の物がネットオークションで取引されている。状態が良かったり、切り刃が珍しいものは高値で取引されているそうだ。もうほとんど資産と言ってもいい。気分がよかったのでポートレート機能で撮影した。
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このシャリバナ~レという狂ったネーミングの潤滑油は、小野式の歯車に注入して滑りをよくするために使う。これは恐らく寿司のシャリを握る機械に使用することを想定してこの名前を付けていると思われるが、いずれにせよ10秒くらいで考えてそうなネーミングだ。
生地を小野式に入れる前に適当な大きさに切り取って、麺棒で薄さを整える。
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生地を整えたら、ネジで微調整して少しずつ厚さを薄くしながら圧延していく。
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ある程度薄くなったら生地を2つ重ねて複合圧延する。楽しすぎる。
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複合圧延をして機械の力で強引に生地をまとめることで、麺にコシが生まれる。
複合圧延を2〜3回繰り返し、最後に切り刃で切る。ここ感動シーン。
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麺遊記、製麺完了。軽く打ち粉をしてジップロックにしまっておく。ハンドルを繰り返し回しているのでかなり疲れる。ここで、この一連の作業あと2回も繰り返すことに気づいて急に真顔になった。
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全ての麺ができる頃には19時を回っていた。
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3. 仕上げ
仕上げ作業に入る。まずトッピングを準備する。薬味は普通のネギ、白髪ネギ、かいわれ、紅生姜を用意した。チャーシューは小さい方が私が家から持ってきたやつで、大きい方は家主が前日に仕込んでたやつだ。形が被らないようにわざわざロールチャーシューにしたのに被った。差別化するために大きい方は後でバーナーで炙ることにした。
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写真には写っていないが、二郎を意識してうずらと背アブラと茹でキャベツ、茹でもやしも準備した。麺はのびてしまうのを防ぐために茹でて水で締めておく。製麺の時から感じてはいたが、並べてみると見た目の時点で結構違う。
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続いて豚骨スープを再加熱してカエシと合わせてスープにする。このスープとは別に家主が前日に仕込んだ鶏魚介スープも温める。この鶏魚介スープは鶏ガラベースで煮干し、アゴ、鯖鰹混合節、羅臼昆布が入っているそうだ。
ついに完成した。上が豚骨スープ、下が鶏魚介スープだ。ぱっと見区別つかないが、匂いが全然違うので間違えることはない。
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麺、スープ、トッピングを全部並べると結構壮観だ。ここから自由に組み合わせて食べていく。ちなみにスープとスープの間にある茶色い料理は豚骨スープに使った豚足を甘辛く煮たやつ。絶対うまいやつ。1番下にあるもやしナムルみたいなやつはもやしナムル。
4. 実食
ここで今回の構成について改めて説明する。麺はオーション、特ナンバーワン、麺遊記の3種類で、スープは豚骨スープと鶏魚介スープの2種類だ。
3種類の麺と2種類のスープの組み合わせで計6種類のラーメンが楽しめる。
まず、麺をそのまま食べた感想だが、特ナンバーワンと麺遊記は味がかなり似ている。特ナンバーワンはオーソドックスな中華麺の風味が感じられた。麺遊記は麺の味が控えめで中華麺のもっちり感がある細いうどんのような印象を受けた。一方、オーションは独特の風味があり、他の2つと違った特徴のある味だ。
次にスープの感想だが、鶏魚介スープは煮干しの香りが強く、さまざまな旨味が十分に詰まっている。豚骨スープは香味野菜と豚の脂のおかげでまろやかな甘みが感じられる。豚足のおかげで濃度もあった。
それでは、麺とスープを組み合わせていこう。
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鶏魚介ラーメンには、特ナンバーワンと炙りチャーシュー、ネギ、カイワレをトッピングした。カイワレは赤大根のカイワレを買ったのだが、おかげで適当に盛り付けたに割にきれいに見える。鶏魚介のラーメンには個人的には特ナンバーワンが合っているように感じた。特ナンバーワンの中華麺らしさが、煮干しの香りでインパクトのあるスープを引き立てている。
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豚骨スープの方にはオーションを入れて、トッピングに茹でたキャベツとモヤシ、炙ってないチャーシュー、セアブラ、うずらを加えて二郎風にした。オーション+豚系スープ+野菜は二郎系で使用される組み合わせだ。鶏魚介スープにオーションを入れて食べてみたときは時はあまりオーションの良さはわからなかったが、豚スープにオーションを入れると急にめちゃ美味くなる。やはり二郎恐るべし。
麺遊記も両方のスープで試した。麺遊記はクセがなく、どのスープ、トッピングとの組み合わせでも美味しくいただけた。個人的には麺遊記+豚骨スープ+紅生姜が結構好み。
5. まとめ
異なる種類の小麦粉を使って同じ条件で製麺して食べ比べるのは初めての経験だったが、思っていたよりも違いがあってかなり楽しめた。また、スープの種類によって合う麺が異なることもわかった。今回は蛋白含有率の異なる3つの小麦粉で比較したが、含有率の近いもの同士だとどう違うのかも気になってきた。そこで、オーションと含有率の近い春よ恋との比較検討を本研究会の今後の展望としたいと思う。
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