「歌が好きです」は、本当ですか?キッズシンガーの親に問う疑問
私は歌手活動(芸能活動)に必要な才能として、1位に『メンタル』を挙げています。
「メンタル」は日本語にすれば「精神」や「心」となる訳ですが、この場合は「精神力」と言い換えた方が適切かも知れません。
言う成れば「何事にも動じない心の強さ」という事になるかと思います。
特に芸の世界は、人前でその技や技術を披露し、それを不特定多数の人に認めて貰って初めて成立する訳で、当然率直な感想や誹謗中傷を受けやすい世界でもあります。
ただ、私が見て来た中で、誹謗中傷で歌手を辞めたという人は、正直そんなにいません。
最もメンタル面で支障をきたしているのは「低迷」です。
自分の進むべき方向性がわからなくなって、それが無気力に繋がり病んでしまう事の方が多いと言えます。
昔、私がまだ音楽活動をしていた時に、別のバンドの女性ボーカリストが「私、なんで歌っているんだろう?」とポツリと言い残して、そのまま失踪してしまった事がありました。
いま思えば、その彼女も自分の未来が見えなくなってしまったのだろうと思います。
そして、この症状は子役やキッズシンガーに最も現れやすいです。
特に、献身的に支えている親御さんの所に。
子供はいつか自立します。いや、自立させなければなりません。
親が方向性や、やるべき事を示せる内は良いですが、それが永遠に続けられる訳ではありません。
事務所に入所して自立する事になったり、親の手を離れた時に、この無気力が襲います。
実は、お子さんの多くは、本当は「親が喜ぶから」という理由で歌手活動を続けている場合が多いのです。
「歌が歌いたいから歌っている」という理由がもちろんあるにせよ、それは表面上の場合が大多数です。
つまり、シンガーへの道は”自分の意志で描いたものでは無い”場合が多いのです。
よって、自立という分岐点から先が見えなくなってしまう訳です。
私が教えている成人したレッスン生の中にも、大きな目標を掲げながら、それをどう具体的に実施するのかわからない生徒がいます。
私のレッスンでの大きな使命は、実は目標の具体化(進むべき方向の具体化)にあるのかも知れません。
この無気力病を避けるために、なぜ歌を歌っているのか。なぜステージに立っているのか。
子供の本当の意志を確認する必要があると思うのです。
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