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凍結保存体制のもつ重要性

災害大国にっぽん

国土技術研究センターの記載によれば、
「日本の国土の面積は全世界のたった0.28%しかありません。しかし、全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の20.5%が日本で起こり、全世界の活火山の7.0%が日本にあります。また、全世界の災害で受けた被害金額の11.9%が日本の被害金額となっています。このように、日本は世界でも災害の割合が高い国です。」
とされています。

生殖医療の歴史が進み、一部の「劣化」が出るように

生殖医療はまだまだ歴史の短い医療です。
現在の凍結保存技術が確率されたのは2000年以降と考えて良いでしょう。
それでも、20年以上の凍結保存をしている施設も出てきたということです。
歴史が進み、一部の機器などにも劣化が出るには十分な時間です。

近年、世界的には凍結タンクにまつわる事故の報告が相次いでいます。
凍結保存タンクに万が一のことがあると、何十、何百もの患者さんの凍結物に対して、甚大な影響が出てしまう可能性もあり、安全な凍結保存体制はより一層重要さを増しています。

日本には数多くの不妊治療施設がありますが、現在、どのような状況なのでしょうか。
最近の調査や研究から紹介したいと思います。

本邦における妊孕性温存療法に使用する凍結保存タンク管理の実施状況調査
(厚生労働科学研究補助金(がん政策研究事業)研究班(20EA1004))

この調査では、622施設を対象にアンケートを取り、回答が得られた352施設の保管状況を調査しています。

Q1.凍結タンク内の液体窒素の残量管理

液体窒素が満タンの状態から枯渇するまでには数ヶ月かかりますが、
万が一タンクの不具合などが発生した場合には1日と持たず、液体窒素がなくなってしまうことも考えられます。その場合、タンク内の凍結保存物は融解されてしまうリスクがあります。そのため、凍結タンク内の液体窒素の残量管理は大変重要で、重量管理の導入が増えてきているように思います。

液体窒素の管理は最も重要な点です

Q2.監視頻度

管理体制がしっかりしていればあまり問題にはならない

Q3.タンクに警報器がついているか

なお、タンクに異常が生じた場合の決めている施設は45.2%に留まった、
とこの調査では報告しています。

卵子凍結にしてもそうなのですが、凍結しておしまいではなく、
凍結したものは長期間安全に保管し、融解して使う時の品質が高い、というのが理想的な形だと思います。

凍結しておいたけど、使う時全然ダメでした、では意味がないです。

しかし、凍結保存体制一つをとっても、これだけのばらつきがあることは大変驚きますね。

不妊治療の方でも、2人、3人のお子さんを考えられる人は、1人目の治療の際に余剰胚を凍結される方も多いでしょうし、卵子凍結や妊孕性温存の方も年々増加傾向です。

これから凍結保存を検討される方には、ぜひこのあたりもしっかりと聞いておいてほしいものです。


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