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52ヘルツのくじらたち

最近、本当に我ながら本をよく読む。

ハウツー系とかじゃなく、今回は小説。
「52ヘルツのクジラたち」ですが、これ、控えめに言って最高です。

52ヘルツのクジラとは

本のタイトルというよりは、その言葉の意味そのものでいくと、
普通の種とは違う周波数で声を発するクジラだそうで、
一生懸命声を上げているけれど、その声は今いる群れには届かない。

でもきっと、そんなクジラの声が届く仲間がどこかにいるよと。

この本で描かれていることは、
現代社会の縮図
なんじゃないかと思う。

いろいろな社会問題やその当事者の葛藤がものすごく詰め込まれている。

  1. 村社会のお節介ぶり

  2. 世代間ギャップがある中での常識の押し付け

  3. 虐待・ネグレクト

  4. 再婚時の連れ子の複雑さ

  5. トランスジェンダー

  6. 子の本心、親の期待

  7. 孤独

  8. 学び直しの重要性

  9. 人の多面性

などなど、多くの課題を物語の中でなめらかに描写している。
読んでいると、
うわ、これめっちゃわかる
というものがありすぎてこまるーと思っていたら読み終わる。

中1と小5の娘と感想を言い合いましたが、
それぞれに感じている点が違っていて、それもまた面白い。

娘たちはエンディング部分の感動的な描写がすごい刺さったようだが、
薄汚れた大人の僕は担任の先生の中途半端な善意が子供を傷つける描写めっちゃささったー、とかいう。

同じ本なのに、こんなに感じ方が違うというのはすごい。

教育にも良い。

例えば、トランスジェンダーについても、物語の中で捉えることができるので、柔軟に解釈することができる。

トランシジェンダーとはこころの性とからだの性が不一致な人、というのが正確な定義ですが、これだと言葉尻だけで結局よくわからない。

トランスジェンダーって何?と聞かれたら、
52ヘルツのあの人ね、くらいがやんわりしててちょうどいいなとも思う。

色々な世代と感想を交わしたい、珠玉の一冊。
お時間あればぜひ読んでみてほしいです。

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